月別アーカイブ: 2015年2月

ブルー&ホワイトのハート作品とルーブル美術館のキューピッド

2005年に教室をスタートしてからの数年間、2月レッスンのためにハートがテーマの新しい課題作品を1,2個ずつ追加するのが習わしのようになっていました。

ハートのボックスから始まって、タッセル付のサシェ(ハートの形の香りのオーナメント)やシザーキーパー、ハートのバックル、ハートの形のからくり箱など、全部で10種類近くあるでしょうか(2015年)。とりわけハートの形が好きだったわけでもないのに、作っていると幸せな気持ちになるのは不思議です。Camidecor1632

エンジェルのオーナメントと一緒に撮った2つのハート(上画像)。実はカルトナージュのハートの箱の本体と蓋をばらばらにして撮影したもので、2007年2月レッスンから課題としてスタートした「ハートの箱シリーズ」の1つです。

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上の画像は蓋を閉めた時のもの。教室では「ハートのA」と「ハートのB」と呼んでいて、蓋をかぶせる「ハートのA」は設計からスタートする初心者用の基礎課題です。※後ろの箱はトンネルの形の蓋の箱(ヴォールト型の箱、ドーム型の箱などとも呼んでいます)

このサンプルに使った材料はローラアシュレイというイギリスのテキスタイルメーカーの生地ですが、柄はフランスを思わせる甘くロマンチックなモチーフ。恋人たちの様子が繊細なラインで描かれています。 Camidecor1630-3作品をちょっと拡大してみると(上↑)。男女の間に弓矢を持ったキューピッドの彫像が描かれているシーンがハートの中に入っているのがわかるでしょうか?右側のひし形のオーナメントは、2007年からスタートした「タッセル付きのサシェ」というオリジナル課題です。

「タッセル付きのサシェ(別名:香り付きのオーナメント)」はアロマオイルをはさんで作る香りのインテリアアクセサリー。ハート、エンブレム形など複数のデザイン(型)から好きな形を選んで作る課題で、その他のサンプルをご覧になりたい方はこちら(ハート形のサシェ:2007年)から。 赤×白のハートのサシェには矢を引いたキューピッド柄を使っています。

<愛の神様 キューピッドとエロス(アモル)>

バレンタインといえば、チョコレートとハート。そして、ハートといえばキューピッド(Cupid:クピド)。

ローマ神話のキューピッドは、弓矢を持ち、いたずら好きの天使の姿で描かれることが多いけれど、もとはギリシャ神話の愛の神様、エロスが原点。「キューピッド(アモル、アムール)とプシュケ」の物語のようなギリシャ神話をテーマにした絵画などでは青年やほっそりとした美少年の姿で登場します。

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上の画像は、アントニオ・カノーヴァ(Antonio Canova)作のAmor and Psyche アモルとプシュケで、パリのルーブル美術館に展示されている作品。 同じテーマを扱った絵画では「ジェラール・フランソワ作 プシュケとアモル(キューピッドとプシケー)もルーブル所蔵の作品です。←ルーブル美術館のサイトは日本語もあって見やすいのでおススメです。

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一方、こちら(上)の画像は天使の姿のキューピッドやプット(putti)が描かれた絵の一部。18世紀のロココを代表するフランスの画家、フランソワ・ブーシェの絵画、”La Cible d’Amour”という絵のポストカードです。

この絵の題名「La Cible d’Amour」の”cible(シブル)”とは標的とか的(まと)=ターゲットのことで、英語では”Love target(愛の標的)”という意味。もともとの絵はもっと大きくて、このハートの的にぐさりと矢が突き刺さっている天上の場面の下には、矢を射った(と思われる)地上のキューピッドが描かれています。←こちらもルーブル美術館蔵

ロココ時代の最盛期、ポンパドゥール夫人の庇護をうけたブーシェ。フランス革命で時代が変わると評価はがた落ちしてしまったものの、その甘美で優雅な作風を見ていると、成功を収めた幸せな期間が長かったのだなあ、と実感。

P1360373-1ハートや天使、水色の空やふわふわの白い雲から刺しこむ光って幸福の象徴。見ているだけでほんわか幸せな気持ちになります。(窓から撮った東京の2月の空 ↑・・・電線の間の青空だけ切り取りました)

Mathilde M(マチルドエム)のハートのオーナメント -箱に貼る時の注意点

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2008年に作ったカルトナージュの両開きの箱。蓋に貼っているのは天使が浮き彫りになった小さなハートのオーナメントで、フランスのMathilde M(マチルドエム)の香りのアクセサリーシリーズの1つです。

近寄るとふわっと甘い香りがただよう、この小さなインテリアアクセサリーと出会ったのは今から7年ほど前だったでしょうか。ハートの他にも可愛い形がたくさんあって、季節によって使い分けるのも楽しいオブジェ。1袋に同じ形が複数入っている形で売っていたので、当時は教室の皆さんと一緒に購入して、違う形を分け合ったりしていました。

以下はその時に買ったハート、リボン、松ぼっくりなど。最近は新しいデザインも増え、通販も含めて様々なお店で売っているようなので、興味のある方はぜひ検索してみてください。

Mathilde M(マチルドエム) ・・・Mathilde M マチルドエム公式サイト

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このオーナメント、私はカルトナージュの箱のアクセントとして複数の作品に使っていて、2009年に作ったこちらの箱(クリスマスのサプライズボックス)のリボンのオブジェも同じシリーズ。これから箱に貼って楽しんでみようという人のために、この飾りを箱に貼る際の注意点をまとめてみました。

1.接着剤について・・・自然素材の布の上なら木工用ボンドで接着できます。心配な場合は、万能ボンドや多用途シリーズなどを使ってもOKです。

2.扱いについて・・・割れやすい素材なので、ぶつかりやすい場所に使用する際は注意が必要です。万が一割れてしまっても、粉々でなければ、接着剤で修復して使えます。材料の性質上、水につけるのは良くないようです。(新しい商品は改善されているかもしれません)

3.変色と着色について・・・使い方や置く場所によって変色する場合があります。変色が心配な場合は、作品に貼る前にあらかじめ色を塗っておくのも1つの方法です(変色後に色を塗ることも可能)。その場合、塗料は水彩絵の具などではなく、アクリル塗料(トールペイントの絵の具でOK)を使いましょう。バーニッシュやコート剤をさらに上塗りすると表面の保護になります。ただし、色を塗ると塗料の膜でコーティングされるので、香りの効果は薄れます。

このアクセサリー、使ってから7,8年経った今見てみると・・・。器に入れて飾っていたものは、多少変色しているものもあり、大丈夫なものも・・・。オーガンジーの袋に入れたままぶら下げていたものは、比較的白いままでした。個人的には自然素材のやわらかなオフホワイトが好きなので、箱に貼る場合も、まずはそのまましばらく使い、変色したら着色するのが良いかな・・・と思っています。※1

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バレンタインのハートというと赤のイメージ。でも、静かで清楚なイメージにしたくて、光沢のあるネイビーブルーの起毛クロスを使い、ミニパールの飾りをあしらっています。

 

※1 リボンのオーナメントを貼ったサプライズボックスは、教室の課題サンプルとして使う際にどうしても汚れてしまうので、あらかじめ着色してから作品に貼っています。

YKKのヴィンテージ復刻ファスナー「OLD AMERICAN」とワークショップのお知らせ

ワークショップのお知らせです。ファスナーや住宅建材でおなじみのYKKさん主催、ボンドのコニシさんも協賛して下さる材料付きの講習会。詳細は追加記載しますが、以下、概要をご紹介します。

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◇「YKKのヴィンテージ復刻ファスナー」と「ボンド裁ほう上手」を使った、ワークショップのお知らせ◇

■3月14日(土) 13:00-15:00  【YKK ものづくり館】にて

■「ボンド裁ほう上手で、貼って作るファスナーポーチ(裏地付き)」  W21×H10(または8)㎝ ※ペンケースやツールケース、ポーチとして使えるサイズ。

■参加費:2000円(税込)・・・布キット、ミニボンド(裁ほう上手17g)、ヴィンテージ復刻ファスナー(OLD AMERICAN)チェーン付のもの(シンプルタイプに変更可)

ホワイトデーのイベントなので、ご希望者にはタッセル&ビーズの飾りをプレゼントします(下の画像参照)

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※お申し込みはYKK ものづくり館のサイトからとなります。

以下、ワークショップで作っていただく「ボンドで作るファスナーポーチ」の大きさや仕様の紹介です。

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ペンケースやツールケース、ポーチとして使えるサイズ。

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使用するのは、ちょっと特別なファスナーです。

<一流ブランドにも使われるYKKのファスナー>

世界の”ものづくり”を支えるYKKのファスナー。なんと世界の45%のシェアを誇り、ヴィトンやグッチ、シャネルなどの高級ブランドにもたくさん使われている、隠れた日本の名品です。

そして今回使用するのは、ヴィンテージジッパーを復刻した「OLD AMERICAN」のシリーズ。普通のお店には売っていない特別な商品※1で、そんな入手しにくいファスナーを使ってのワークショップは、YKKさん主催ならではの贅沢な企画。講習会では、その中でも特に手の込んだデザインの1つ、Universalという刻印入りの引手金具&5連のチェーンがついたタイプを使います(チェーンのないシンプル引手も選択可能)。

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<ファスナーポーチをボンドで貼って作る方法について>

「ボンドで作るファスナーポーチなんて・・・」と思っている人も多いのではないでしょうか?でも、実は意外にメリットがあるのです。

まず、ステッチが出ないので見た目がすっきり。布に合う色の糸を探したり、わざわざ買いに行く必要がありません。また、ミシンで作る時は、ファスナーの金具が邪魔になって縫い目が曲がることも多いけれど(私だけ?)、その心配はなくなります。

そして、内側を裏地付きにする場合、下の画像の【工作方式】で作れば、糊代(縫い代)を内側に出さず美しく仕上げられます。(折り紙&工作の方法なので、慣れればカンタンです)

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ワークショップでは【工作方式での作り方】や「ボンド裁ほう上手」の使い方、どんな布を使うと良いかなどをレクチャーしながら、実際に体験していただきます。

<布について>

布は複数のキットからお好きなものを1つを選んでいただく形です。その一部をちょっとご紹介すると・・・。男性でも女性でも使えるストライプ(下)や北欧柄(上)。ファスナーテープの色はオフホワイトか茶色です。

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ちょっとレトロでポップなスイーツ柄(下)や花柄(1番上の画像)は春らしくちょっと楽しく。

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時代を問わず人気のある、赤と紺のストライプやデニム生地。・・・ジッパー(ファスナー)が生まれた国、アメリカのビンテージジッパー復刻ということで星条旗のカラー。 ・・・と思ったけれど、青、白、赤の三色はイギリス、フランス、オランダ、ロシア、チェコなどの国旗の色でもありますね。

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麻混のシャビーシックな花柄とヴィンテージファスナーを合わせたものは、レースなどを貼って使ってもOK。

Camidecor1627-1こちらのファスナー、デニムなどと相性がいいのはもちろんですが、金具の光沢や色に高級感があるので、花柄やポップな柄の生地とも合わせられます。

針と糸やミシンを使わずにファスナー付ポーチを作ってみたい人、ヴィンテージ復刻ファスナーに興味のある人、春の入園、入学シーズンに向けて「ボンド裁ほう上手」を使ってみたい人、そしてホワイトデーのデートの前にカップルで参加希望!というお2人など、年齢、男女問わずどなたでもお気軽にご参加ください。

Camidecor1628-8***ホワイトデーのイベントなので、ご希望者にナチュラル素材のタッセル&キャンディカラーのビーズをプレゼントします***

 

<「ボンド裁ほう上手」を使った講習会について>

実は「ボンド裁ほう上手」を使った講習会は私にとってちょっと特殊なイベント。今後もあまり機会がないと思いますので、参加して下さる皆様に楽しんでいただけるよう準備したいと思っています。

その後のキット準備の様子についてはこちらから。ストライプから花柄までバリエーションがあるので、お好きなキットを選んでからスタートします。

縫わずにボンドで作るファスナーポーチ(裏地付)-ワークショップのキット作り

 

・・・終了しました。当日はおまけで三角タッセルも一緒に作っていただき、皆さん無事に完成。私にとっても楽しいホワイトデーのひとときとなりました。参加して下さった皆様、「YKKものづくり館」のスタッフの皆様、アシスタント(サポート講師)を務めて下さったTさんとSさん、ありがとうございました!

 

※1 YKKのファスナー OLD AMERICAN(オールド アメリカン)シリーズについて・・・こちらのサイトに詳細や画像(渋くてカッコいいです)があります。 細部にこだわる日本の”ものづくり”の精神が感じられる記事なので、興味のある人はぜひ。

 

布のふっくら三角タッセルの作り方(ボンドで貼って作る方法)-春のラッキーオーナメント

新春のラッキーオーナメントで紹介した布で作るふっくらオーナメント。正確には三角錐(さんかくすい)なのですが、横から見ると三角形。そして、タッセルの房がふわっと広がったみたいに見えるので「三角タッセル」と呼んでいます。Camidecor1616 一昨年(2013年)の冬、コニシさんの「裁ほう上手」というボンドで作る小物のアイデアをいろいろ考えていた際に、偶然できた超カンタンアイテム。捨てようと思っていた布のハギレなどでびっくりするほど簡単に作れるので、以下に作り方(レシピ)を紹介します。

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「新春のラッキーオーナメント」と名付けた理由は前の投稿に書いてあるので、ご興味のある方は読んでみてください。私はピンクッションとしても使っています。

貼って作る布の三角タッセル-新春のラッキーオーナメント

 

<布のふっくら三角タッセルの作り方(ボンドで貼って作る方法)>

まず、材料と道具を準備しましょう。芯地を入れずに布だけで作るアイテムなので、接着剤はコニシの「ボンド裁ほう上手」がおすすめです。(木工用ボンドや他の布用接着剤でも制作可能ですが、水溶性の接着剤の場合は水で濡らさないよう注意してください) CamidecorHT45 設計はとても簡単。作りたい大きさを決め、糊(のり)代を加えた布の要尺を出します。柄を出したい場合は、中心部分に柄が入るようにカットして下さい(右下画像)。 CamidecorHT48 携帯やスマホにつけたり、シザーキーパー(ハサミにつける飾り付のストラップ)として使う場合はミドルサイズかミニサイズ以下がおすすめ。ピンクッションなどにする場合は、ふっくら大きめサイズ以上で作ると良いでしょう。 CamidecorHT49 ① まず、布をカットしましょう。布の裏側に「時間が経つと書いた線が消えるペン」やチャコペンなどで、糊(のり)代の線を書き、それに合わせてカットします。その後、緑色の点線部分(両脇の糊代と真ん中の折り線)にアイロンをあて、内側に折ります。 ② ストラップ(紐やリボン)やループをつける場合は、真ん中の折り線近くにしっかり貼っておきます。 CamidecorHT50 ③ ★印の糊(のり)代をボンドで貼り合わせてアイロンで圧着し、小さな袋を作ります。 CamidecorHT51 ④ ③でできた袋に綿を詰めてふっくらさせます。ぬいぐるみ用の綿は最近は100円ショップでも売っていますし、キルト綿をほぐして入れても大丈夫。その後、両端の継ぎ目部分をあわせて、上から見ると三角形になるよう向きを変えます。 CamidecorHT52-1 ⑤ 開口部の糊(のり)代を内側に入れ込み、ボンドを塗って貼り合せます。接着面はヨレヨレせず、まっすぐになるよう整えて、アイロンで圧着。中の綿をつぶさないよう気をつけましょう。 CamidecorHT53 ⑥ あっという間に完成です。ヒモにビーズなどを通してアクセントにするのもおすすめ。レースなどをはさんで飾りをつけても良いでしょう。

携帯やスマホのストラップ、ハサミなどのアクセサリー(シザーキーパー)、ピンクッション、大型サイズの三角クッション、そして子供用のおもちゃなど、自由な発想でいろいろ楽しんでみてください。 Camidecor1618