カテゴリー別アーカイブ: Cartonnage(和/Japanese)

カルトナージュの入れ子の器-秋と冬

入れ子タイプのカルトナージュの菓子器。軽く水拭きできる材料を使っています。

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ばらばらにするとこんな感じ(↓)。少し光沢のあるチャコールグレイ(スレートグレイ)と渋みのあるシャンパンゴールドの器で、お菓子の代わりに木製のどんぐりと木の葉を入れてみました。

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実はシルバーもあって、金、銀、黒の3色セット(下)。秋のお菓子や果物を入れたり、トレイとして使ったり。光沢がある材料なので、クリスマスやお正月にも合うのです。

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カルトナージュで作るトレイや菓子器やコースターなどのテーブルウェア。「こんなものがあったらいいな」と、まずは自分用に作ったものが多く、たまに教室でも使っています。

・・・その後、ベテランの3人の皆様が同じ材料で「入れ子の器3セット」を作って下さり、レッスン課題(選択制)となりました。※1

※1.多面体の箱の応用作品:「入れ子の菓子器」・・・多面体は「蓋付きの箱」や「ダストボックス」などもあります。

13年前の秋のテーブルと手作りの器-紅葉狩りによせて

暖かな秋の日々は雑事に追われて飛ぶように過ぎて、急に冷え込んだと思ったら北の方から雪の便りが・・・。もうすっかり冬になっています。

デジタルカメラを使い始めたのはいつ頃からだったでしょうか。

先日画像を整理していたら、10年ほど前の画像をコピーしたCDデータがほとんど壊れているのに気付いて愕然。。。なんとか残った画像をUSBに移しながら、「あーこんなこともあったな・・・すっかり忘れてた」となつかしく想い出にひたる一方、人間の記憶だけでなく電子データ(文明の利器)のはかなさを実感しています。

・・・なくしたデータについては、当時の電子機器類を盲信していた自分が浅はかだったと悔やみつつ、なんとかデータ復旧ができないか今のところ模索中・・・(涙)

そんな中、見つけたのが2002年11月に撮った下の画像。 13年前、テーブルコーディネートの小さなイベントにサポートとして参加した時の画像です。

テーマは「秋の食卓」。手持ちの食器で間に合わせるために、日本の紅葉に合う和食器や和紙を取り入れた和洋折衷(クロスオーバー)スタイルをコンセプトに、東南アジアの食器など少しオリエンタルな要素を入れています。 Camidecor1715 サブテーマは「自宅でのおもてなし」。リアルな感じを出したかったので、空想の「御献立(メニュー):上画像」を添えています。今風にいうと「エアーお献立」です。

久しぶりに墨をすり、和紙に書いた手作りのお品書き(雑ですみません)。内容を見ると、その時自分が食べたかったものを書き連ねだのだなと。

-「秋の食卓・妄想メニュー」御献立-

自家製梅酒、鯛の松の実和え、柿とりんごのごま酢がけ、松葉銀杏(ぎんなん)、かぼちゃとさつまいものあったかスープ、鮪(まぐろ)のタルタルソース・あさつき添え、和風ローストビーフ・幽庵(ゆうあん)風味、根菜のサラダ添え、きのこと地鶏の炊き込みご飯、柚子シャーベット、栗の焼き菓子、季節の果物

当時は陶芸の趣味があり、自作の大皿や瓦(からわ)風の銘々皿を使いました。その頃に焼いた食器や抹茶茶碗は今でも愛用しています。 Camidecor1715-2

ちょうど見ごろだった紅葉の枝とイガ栗。色とりどりの紅葉を見ていると、やっぱり秋の主役は自然の美しさと恵み、それに勝るものはない、と感じます。 Camidecor1715-1

今回は秋冬のテーブル用のカルトナージュの器の画像の紹介をしたかったのですが、「秋の食卓」の画像から食べ物の話に脱線して横道にそれてしまったので、そちらは次回に紹介します。 Camidecor1720-1

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美味しいものがたくさんある季節。秋になると必ず作る定番料理やお菓子はいくつかありますが、上のメニューの中の「栗の焼き菓子」は、かなりの頻度で作る常備菓子。

「材料をきっちり測る」というお菓子作りの王道を踏み外しているので大きな声では言えないけれど、材料の量はかなりアバウト。400gのバターを使いきるために、いつもフルーツケーキとマロンケーキを1本ずつ、マドレーヌ6-8個を一気に焼いてしまいます。

下の画像がそのケーキで、夏に森でもらってきた切り株と一緒に・・・。

<「栗の焼き菓子」の材料など-自分の備忘録もかねて>

◇A:生地(アーモンドプードルたっぷりバージョン)・・・バター400g、卵7個くらい、小麦粉270gくらい、アーモンドプードル130gくらい、ベーキングパウダー少量、ブラウンシュガー(その時の気分で100g前後)、バニラオイル少々

◇B:フルーツケーキの具:レーズン、オレンジピール、レモンピールなどをたっぷり・・・ラム酒に浸しておく(ドライいちじくやナッツ、干し柿の残りを入れることも・・・)

◇C:マロンケーキの具:マロングラッセのみじん切り+マロンクリームをラム酒に浸しておく

・・・焼き立てのケーキにラム酒入りのシロップをかけて保存します・・・※子供用はラム酒無し

 

花飾りの小さなバッグと7つの花びらケース-初春によせて

新しい年が彩り豊かな明るい年になるよう願いをこめて。

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花飾りのついた、ピンク色の小さな筒型バッグ(上:2010年制作、撮影)と、

和紙で作った、花の形の器7つ(下:2010年制作、撮影)。

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2015年が皆さまにとって幸せに満ちた素敵な1年になりますように。

折本の裂地帖と収納箱-七夕によせて

日本の五節句の1つである七夕のお祭り。七夕の由来は中国の乞巧奠(きっこうてん)という星祭りで、平安時代の宮廷行事では手芸やお裁縫の上達を願って五色の糸や針を供えたとか・・・。

昨年は七夕にちなんで、「星の形の小さなお針箱」を紹介しました。今回はずいぶん前に作った古い作品の画像を紹介します。

七夕にちなんだ1枚目の画像は、笹の葉と絹糸、短冊に見立てたクリスタルのオーナメントを組み合わせたもの。3つのビーズは夏の大三角形の星座(そのうち2つは織姫星と彦星)・・・ということにしておきましょう。

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誰でも知っている、七夕の織姫(おりひめ)と彦星(ひこぼし)の伝説。電子メールやLINE、スカイプ等で誰とでもコンスタントにやりとりできる今の時代、会いたくても会えない・・・という物語は現実とかけ離れたものになってしまいましたが、「1年に1回しか会えない・・・しかも、雨が降ったら会えない・・・(涙)」というストーリーはよくできていて、ついつい毎年7月7日のお天気を気にしてしまうのが昔話のすごいところ。

ちなみに、織姫(おりひめ)は天帝(天の神様)の娘だそうで、その名前と仕事から、昔は織物や手芸、お裁縫などの手仕事が、女性にとっていかに重要だったか想像できます。

さて、今回紹介するのは日本の着物地で作った「裂地帖(きれじちょう=生地の見本帳)」。平成16年と書いているので、ちょうど今から10年前に作ったものです。

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生地の見本帳というと、まずカーテン生地のサンプル帳が思い浮かびますが、イメージしたのはもう少し古いもの。折本(おりほん)という和本形式の裂地帖(きれじちょう)です。※以下は古い雑誌の切り抜き(参考画像)

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裂地帖には表具屋さんなどが仕事で使うものから、文化財として美術館で見ることができる名物裂帖(古裂手鑑)古織紋鑑のようなものまで様々なものがありますが、舶来物の美しい織物や更紗(さらさ)の端切れが丁寧に貼られた折本は、宝箱がそのまま本になったよう。実際、その時代の絹織物は宝ものだったにちがいありません。

さて、私が作った裂地帖ですが、高価な生地用のものではなく、折本に生地を貼って並べるという発想が好きで作ってみたもの。生地を見ていると、作ったアイテムが思い浮かびます。

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今まで使った生地を全て並べてシリーズにしたいところですが、気が遠くなりそうなのでそれは断念。古今東西の多様な材料が簡単に入手でき、自由に手工芸を楽しめる便利な時代に感謝しつつ、ちょっぴり不便な方が楽しみは見つけやすいかも・・・とも思ったりしています。

→少し大きい過去の画像、作った材料などにご興味のある方は2004年のページ(ふた付き木箱の活用)をご覧ください。

◆過去の作品画像について◆

過去のレッスン作品などの古い画像の一部を、時を遡って作品制作の年の欄に追加してみることにしました。2013年3月より前の記事は、当時の画像をもとに記憶をたどりながら書いているものです。

紙袋トート応用1 ー和紙のバッグと折り畳みAタイプ

今回は紙袋トートバッグのバリエーションを少し紹介します。

<和紙を使った紙袋トート(2010年制作)>

最初の画像は2011年に書籍『和紙で作るカルトナージュ』で紹介したもので、和紙で作った作品。

書籍のコンセプトに沿って、伝統柄の和紙を少しモダンな感じに仕立ててみようと試みた作品で、使ったのは「いせ辰」さんの江戸千代紙(後ろ3点)と京友禅紙(手前の縞柄)です。

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上の画像の5つのバッグ、形や構造が少しずつ違っていて、真ん中の小さなバッグは折り畳めるタイプ。(折り畳みにはAとBの2種類あって、こちらはAの方です)

この濃いピンクと銀色の市松模様の江戸千代紙のミニバッグ、もともとギフトバッグとして作ったものですが、ちょうど封書や小冊子が入るサイズなので、今は卓上レターケースや小物入れとして使っています。(携帯、メガネ、文庫本など入れて家の中で持ち運ぶのにも便利です)

底が畳めるタイプは、内底に薄めの厚紙を入れて使うのがおすすめ。底がしっかり安定します。↓

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<2008年の教室で受講していただいた作品より>

次に紹介するのは、画教室の皆さんの作品(2008年)で、持ち手交換型の紙袋トート。こちらは畳めないタイプで、各自好きな大きさで設計し、革の色も好みのものを選んで制作します。

箱とは違う発想で布使いが楽しめるのも嬉しいところで、左のお2人の作品は、あえて柄の布をマチ部分に使用するという素敵なアイデア。(こちらのページに掲載したもの)

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「ボンド」で作るなんて強度は大丈夫なの?と聞かれることがありますが、木工用接着剤の接着力はかなりのもの。カルトナージュの箱を解体するのが大変なのを経験した方も多いのではないでしょうか。

気をつけなければならないのは、水と材料。紙は水に弱く、また、「木工用接着剤」は水溶性なので、雨がザーザー降っている中、傘もささずに持ち歩くのはおすすめできません。

また、接着剤には材料との相性があり、材料によっては接着できないものも。自然素材の綿や麻はしっかり接着できますが、化繊を使うと接着力が弱まる(または接着しない)ので、注意が必要です。

 

引き出し付の違い棚と小さな掛け軸2

2011年1月から2月に制作した「引き出し付の違い棚」。

「和紙で作る作るカルトナージュ小物」という書籍に作品と作り方を提供した際の作品です。

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本体(茶色部分)に使ったのは、杉皮で作られた珍しい和紙。ざっくりとした風合いの繊維の荒い素材ですが、丈夫な中にもなめらかさがあり、意外にも使いやすかった記憶があります。

和のイメージを演出したくて「違い棚」として載せていますが、もともとはシンプルな引き出し付の長方形のブロック3つ。ばらばらにしたり、好きな大きさを足したりして使うことが可能です。

引き出しは全て違う模様の和紙を使用。伊東屋さんで購入した京都の和紙、江戸唐紙、いせ辰さんの江戸千代紙などをミックスしています。

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和紙は昔から好きな素材ですが、この時あらためて感激したのは、和紙の扱いやすさと和の文様の美しさ。和のモチーフから影響を受けてきた海外のデザイナーが少なくないことが実感できます。

・・・教室で和紙を並べてうっとり見ている時、誰かが「ポールスミスのシャツのストライプだ!」と言っていましたが、確かめていないのでわかりません・・・

Camidecor1350上の画像はいせ辰さんで購入した江戸千代紙を並べたもの。額に入れてシンプルに飾っても素敵です。

下の画像は以前にも載せた、折りたたみ式の”ミニ掛け軸”ですが、中央部分に京友禅紙など好きな和紙を貼ってアクセントにしています。飾っているのは京都の唐長さんの小さな短冊。長方形に切り取られた中の色彩と文様の絶妙なバランス、手刷りの美しさは大きさ以上の存在感です。

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左側奥の花模様の和紙は、沖縄の紅型(びんがた)という染色技法で作られる着物のモチーフを和紙に染めたものですが、もう作られていないとのことで、とても残念。

日本の美しいモチーフや伝統技術が消えることのないよう、大切にしていきたいと感じています。

星の形の小さなお針箱 -七夕によせて

さらさらと風にそよぐ短冊や、涼しげな紙の飾りに彩られた七夕の笹飾り。子どもたちの作ったものはとりわけ微笑ましく、幼い頃に折り紙で七夕飾りを作った時の楽しさを思い出させてくれます。

子どもの頃にお気に入りだったのは「天の川」を模した「網飾り」。紙を折って切り込みを入れるだけでビューンと伸びる不思議さに惹きつけられたものでした。

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中国の乞巧奠(きっこうてん)という星祭りに由来するという七夕のお祭り。

乞巧奠(きっこうてん)とは、奈良時代から平安時代に催された宮中行事の1つで、もとは旧暦の7月7日の初秋に行われたものだったとか。そこに牽牛(けんぎゅう)と織姫の伝説や日本古来の神事(お祭り)が絡みあって、七夕(たなばた)の節句となったそうです。

今おなじみの”七夕の笹飾り”は江戸時代から始まった風習で、歌川広重や歌川国芳の作品をはじめ、浮世絵の中にもたびたび登場しています。下の画像は広重の「市中繁栄七夕祭」。絵の中で西瓜や鯛、ひょうたんや大福帳などが笹と一緒に風になびいている風景を見ると、なんとも平和そうで、江戸時代の夏にタイムスリップしてみたくなってしまいます。

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日本人にとってなじみ深い、織姫(おりひめ)、彦星(ひこぼし)、天の川の物語。

天の川は、英語ではMilky Way(ミルキーウェイ)またはMilky Way Galaxyと 呼ばれる銀河系(天の川銀河)のこと。夜空に浮かぶ光の帯は古来から神秘的なものとしてとらえられ、世界各地にさまざまな神話や伝説が残っており、1610年にガリレオが自作の望遠鏡で天の川が星の集まりであることを確認するまでは、様々な論争を呼んだそうです。

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さて、前置きが長くなってしまいましたが、作品の紹介に移りましょう。上の画像は七夕にちなんだカルトナージュの作品2種、「星の形の糸巻きと小箱」。先に紹介した七夕の由来である乞巧奠(きっこうてん)という宮廷行事からヒントを得て、遊び心で作ったものです。

手芸や裁縫が重要な技術であったその昔、乞巧奠の行事では、織姫(おりひめ)星=織女(しょくじょ)星に、針仕事の上達を願って、五色の糸(青、赤、黄、白、黒:現代では紫)や針を供えるなどの雅なしつらえが行われたとか・・・。

そこで、カルトナージュの星の形の箱は、「小さなお針箱」にしてみました。材料には、”五色の糸”の代わりに、糸が交差したように見えるチェック柄を使い、色は青、赤、黄、白、紫の淡いトーンで涼しげに。針刺し(ピンクッション)や小物入れは内部にぴったり入るような形にしています。

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「星の形の糸巻き」は布のハギレで作れる簡単な小物。中途半端に余ったブレードやリボンなどを巻きつけて保管するのに便利です。(星の形でなくてもいいのですが、七夕ということで・・・)

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「五節句」の1つである7月7日。節句にはそれぞれに関わりが深い植物があって、「竹の節句」と呼ばれることもあるようです。※3月3日は「桃の節句」

”竹は節があるからこそ強く美しい”とよく言われますが、季節ごとの伝統行事も大切な節目。1年をめりはりのある豊かで楽しいものにしてくれます。