月別アーカイブ: 2013年3月

お花見と梅型の箱 -和紙で作るテーブル周りの小物と器

「梅や桜を楽しみながら・・・」という春のイメージで、2011年2月初めに制作したテーブル周りの小物入れ。2011年に刊行された「和紙で作るカルトナージュ小物」という書籍に掲載した作品です。Camidecor17もともと若い女性の編集者さんから「古い和のイメージとは少し違う感じで…」という依頼があったのと、4月に刊行される本だったので、春らしい感じにしたくてベースカラーはピンクに。

作品作りは2月の寒い時期だったので、脳内でお花見の季節をイメージしながらの作業でした。

桜や梅の花びらの透けるような質感やはかなげなイメージを表現する時、薄くて丈夫な和紙は相性がいい素材。

「女性が好きな感じで…」というリクエストもあり、和のお菓子や砂糖細工をイメージした淡い色を使いました。

締め切りがある仕事は、うまくいかずイライラしたり寝不足になることも多いのですが、繊細な和紙の手触りやパステルカラーに癒され、励まされながらの作業でした。

テーブル周りの小物入れというコンセプト。お花見の時期をイメージして箱の形は梅の花。箸置きに桜の花びらや扇のデザイン。梅の形のマット(折敷)は重ねて箱に収納できます。

右上の箱の内箱は星の形を模したもので、取り出してトレイのように使ってもOK。
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小さなグラスをのせたお盆は梅の箱の蓋部分です。Camidecor20

ピンク色だけではなく、様々な色の花が咲き乱れる春の庭。

黄色や黄緑。桃色、撫子色、サーモンピンクや珊瑚色、桜色。

淡い色の水色の空や若菜、萌黄、山葵色。

そんな春の色をイメージして、蓋のアクセントには和紙でリボンワークを施しています。Camidecor15

 

春の光とアプリコットカラー

どこか繊細でやわらかく、少し物憂げな感じがする日本の春の光。「春光うららかな」という表現がありますが、命を育んでくれる温かさも感じます。

そんな穏やかな光と相性がいいパステルカラーやシャーベットカラー。光の柔らかさが今の時期と似ていると感じて撮影日を見たら、ちょうど4年前の3月5日。2007年から2008年の作品を色別にまとめて撮影した時の画像です。

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淡いトーンのアプリコットカラー、杏色。春の花としてすぐ浮かぶのは梅、桃、桜ですが、杏も花と実の両方が楽しめるバラ科の植物です。

左側の花は淡い杏色のヒヤシンス。こぼれ落ちた小さな花を見ていると、当時のヒヤシンスの香りがよみがえってくるような気がします。マルセル・プルーストの「失われた時を求めて」という小説の中に、紅茶に浸したマドレーヌの香りが幼少期の記憶を呼び覚ますという描写がありますが、反対に映像が香りの記憶を呼び起こすことも多いのかもしれません。

画像の真ん中の作品はマドレーヌ型にも似たシェルの形の箱。2008年、タイシルクで作った作品です。蓋のトップはシルクの上にオーガンジーを重ね、靄がかかったような感じに。

貝殻(Sea Shell)というと夏のイメージですが、春は貝類が美味しい季節。自然の恵みに感謝です。

 

小さな掛け軸-1 -ひな祭りによせて

雛祭りの「雛(ひな)」という言葉は、小さなものという意味があるそうです。小鳥のひなからのたとえでしょうか。「雛菊(ひなぎく)」という花の名もその1つかもしれません。

枕草子にも「ひいな」という言葉がかわいらしいもの(うつくしきもの)として登場※1しますが、こちらは子ども達が遊ぶ小さな紙人形やおままごと道具の意味だとか。 可愛いものに魅かれる心は時を超えて不変だと感じます。

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さて、上の画像はカルトナージュの手法を使った「折りたたみ式の小さな掛け軸」。もともとは2005年のカルトナージュの作品展に展示するために考えた和の作品で、2011年の春「ミニ掛け軸」として書籍に紹介しました。

材料は向かって左からタイシルク、正絹、タイシルク(シャンタン)、それぞれに和紙を組み合わせています。和紙が正絹の着物地と合わせやすいのはもちろんですが、タイシルクとも相性が良いのはアジアつながりだからでしょうか。

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写真右上のように葉書立てとしても使える作品。→グリーンのサンプルを葉書立てとして使っている画像は引き出し付の違い棚と小さな掛け軸2で紹介しています。

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桃の節句が終わると、次は桜の季節。

上の画像は2007年春の教室のために撮影したもので、左下に少し見えるのは、桜の花びら型のナプキンリングです。

 

※1 枕草子 第151段「うつくしきもの(かわいらしいもの)」 に「雛の調度(ひひなのてうど」という言葉が出てきます。また、源氏物語に出てくる「ひいな遊び」も、子供たちの人形遊びやおままごとのような意味があるそうです。

ひな祭りの菱(ひし)形の箱(2009年)

やわらかな春の陽ざしと3月3日のひな祭り。可愛らしい雛人形や雛道具、お寿司やお菓子で祝う女の子の行事は春の訪れにぴったりです。

下の画像は2009年3月の教室のために作った「菱形(ひしがた)の箱」4種類のうちの3つ。ひな祭りにちなんで菱餅をイメージした作品です。

古来からの文様である菱形。ヒシ(菱)という水草の葉と実の形が名前の由来で、古典文様としてもおなじみですが、ひな祭りの菱餅の由来については諸説あるようです。(菱餅のピンク、薄緑、白にもそれぞれ意味がこめられているそうです)

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さて、こちらは一見3つとも同じ菱形の箱に見えますが、それぞれ違う構造です。左からかぶせ蓋、あわせ蓋、そして引き出し付きの箱。ピンクの箱は2つの引き出しが扇形に開きます。

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縁起の良い吉祥文様の扇形、内側に貼ってあるのは金色の和紙。

 

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そして、少し近づくと、なんとなく男雛と女雛に見えるでしょうか。

貝合わせの貝からこぼれる雛あられは色とりどりの刺繍糸で作った巻き玉なので、食べることができないのが残念です。

はじめに

2005年にスタートしたAtelier Fa-Decorのホームページ。2013年のサーバ移転をきっかけに、今まで更新を怠っていた旧式のサイトをリニューアルしようと考えていました。

いわばサイトの引越しと新築です。さて、何から始めれば?…と少し調べると、そのためには膨大な作業時間がかかること、整理しなければならない画像があまりに多いことに直面し、みるみるうちに最初の目標はしぼんでしまいました。

振り返ってみると、10年以上前に1枚のチラシのような形で始めたホームページです。教室運営上の必要に迫られ、知識もないまま増築のような形でページを増やしていったため、まるで設計図無しで立てた家のような感じになっています。

そんな古めかしいサイトではありますが、2005年からの教室の記録であり、教室のツールとしても必要な情報が入っているので、まずはそのままの形でHPを移転し、こちらの別館サイトCami Decor(カミ・デコ)を新たに設けることにしました。

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<Cami Decor サイトについて>

投稿形式になっているのでBlogのように見えますが、日記ではなく「作品画像の保存、紹介」が目的のページです。(日記を毎日書くというエネルギーは、小学校1、2年生の時にすっかり使い果たしてしまったような気がしていますので、無理せず・・・)

また、こちらのページタイトルの「Cami Decor(カミ・デコ)」という名称ですが、Atelier Fa-Decorとして「紙で作る方法」を考えてきた作品の総称です。

2005年に教室をスタートし、カルトナージュを中心に取り組んできた実用品制作ですが、しだいにバッグや小物、そして家具など、少々はみ出したカテゴリーに発展していき、分類する必要が出てきました。全体を見渡すと、どの作品にも共通するのは「紙」という素材。バッグやポーチなどの小物類なども「折り紙(Origami)」のように切って貼って作れる方法を考えています。

そこで、作品をまとめるために考えたのがCami Decor(カミ・デコ/かみ・デコ)という名前。アイテム全体をCami Decorとし、その中でカテゴリー分けしてみることにしたのです。

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名前の由来はとても単純で、日本語の「紙-kami」、フランス語「Carton」、イタリア語「Carta」、英語「Cardboard」の「Ca」をミックスしたものです。

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現在、教室にはレッスン用のサンプル作品が積まれていますが、数が増えすぎてそろそろ整理する時期にきています。長い間使って古めかしい感じになってきたものも多いのですが、どれも時間をかけて試行錯誤し完成した課題サンプル。片付けてしまう前に、まずは画像としてこちらのページに残し、教室のツールとして使っていければと考えています。(2013年3月)

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<Atelier Fa-Decorのホームページと過去の作品画像について>

2005年にホームページビルダーを使ってサイトを開設し、こちらのページ(メインサイト)で毎月の作品を少しずつ紹介してきましたが、2007年10月以降は作品の種類が増えたこともあって、画像掲載が追いつかなくなってしまいました。(難しめの作品は教室は受講する皆様のみに画像をお送りする形としてしまったため)

そこで、カルトナージュ作品のほかバッグと小物、家具など紹介できていない過去の作品画像や作った時のエピソードなどをこのCami Decor(別館/サブサイト)に少しずつアップしながら整理していくことを試みています。

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<2013年以前の日付の記事について>

2013年3月より前の日付の記事はメインサイトの記録(2005年~)をもとに時を遡ったりしながら記録として書いているものです。また、教室のツールとしての画像や皆様の作品などを、日付と関係なく便宜上掲載することもあります。

<Atelier Fa-Decor/Cami Decorサイトの画像について>

サイト内で使用している作品画像、参考画像、コラージュの風景画像などは全て自分自身で撮影したものを使用しています。 ※他者が撮影した画像を掲載する場合(イベント案内など)は、文中にその旨明記します。

<カルトナージュ教室、バッグと小物などのクラフトの教室やワークショップのご案内について>

詳細についてはメインサイトをご覧くださいませ。