新緑の間からこぼれるキラキラした光や、そよ風が清々しくて過ごしやすい5月。
ゴールデンウィークの休日モードでスタートするからか、コートの必要がないからか、ファッションもカジュアルで着心地良いものを選ぶことが多くなります。
そんな季節に気軽に持てるイメージで作った「デニムのバッグシリーズ」。
デニムって、男女問わず子どもからシニアまで、みんなで一緒に楽しむことが出来るめずらしい素材。丈夫で汚れにくい上、ストリートファッションから上品なカジュアルまで、いろんな風に変身できる優れものの材料・・・。
クラフトの材料としても扱いやすいので、バッグの作り方やデザインを考える時のサンプル制作によく利用しています。
<デニムのバッグ、クラッチ&ショルダーいろいろ>
下の画像はサンプルとして作ったバッグの一部。
ミニショルダーやクラッチバッグだけでも6,7種類あって、色や大きさ、作り方を少しずつ変え、強度や実際の使い心地などチェック。
ちょっとおしゃれに持ちたい「大人のデニム」はチェーンストラップと組み合わせてもOKです。
<ミモザの花束とプロヴァンス生地の舟形トート>
2014年に出版された「ボンドで貼って作るバッグと小物」の本でも、「舟形トートバッグ」のページに、デニムをアクセントとして使った作品を掲載しています。
企画の際に「エレガントな材料ではなく、カジュアルで親しみやすい柄物を使ってほしい」という要望があって、材料選びがなかなかうまくいかず難航した仕事・・・。バッグって、無地やストライプだとイメージしやすいのですが、カジュアルな柄物となると結構難しいのです。
締切の撮影日もせまり、切羽詰まった中で収納の奥からひっぱり出した、カルトナージュで使った南仏プロヴァンスの生地。
「多分ボツだろうけど、この布でも作ってみようかな・・・」
バッグのアクセントにデニムを使ったのは、ちょっとした遊び心で、”デニム”という名前の由来が南フランスのニーム(Nîmes)という町からのものだから、でした。※1
撮影日は、まだ寒い2月初め。都内に雪が降ったあくる日のこと。なんとか全ての作品を作り終え、スーツケースに入れてスタジオへ・・・。
3,4個持って行った舟形トートの中から、スタッフの皆さん(編集のMさん、スタイリストさん、カメラマンさん)が撮影用に選んで下さったのは、デニム×プロヴァンス生地のバッグでした。
スタイリングにミモザの生花を準備してくださったのは、偶然だったのでしょうか。
使いこまれた古い木のテーブルの上に、自信がなさそうに置かれたバッグとミモザの花。締め切りぎりぎりだったりと仕事への反省が多くてちょっぴり冬模様の心に、南仏やイタリアを思わせるミモザが光を注いでくれるような気がしたのを、あの時のバッグを見るたびに思い出します。
和やかな雰囲気の中で楽しく終わった撮影の後、スタイリストさんからバレンタインのチョコレートとミモザの花をいただいて外に出ると雪はすっかり解けていて、なんだか心もほっこり。
帰宅後、あらためてスタッフの皆さんのプロフェッショナルな仕事や細やかな配慮に感謝しながら、こんな風にして共同作業で作られた本が、どこかで誰かの役に立つといいな・・・と感じた3年前の撮影の1日でした。
<ワンランク上のテクニックで作る”貼って作るバッグと小物”>
さて、話を1枚目のデニムのショルダーバッグに戻しましょう。「バッグと小物」の書籍を出版してからしばらくは、本に紹介した簡単なアイテムを中心に紹介してきましたが、今年は、自分用や教室用に考えてきた、少し難しめのバッグや小物の画像も少しずつ紹介しています。※2
下のバッグはそんな1つで、複数のテクニックを組み合わせて作ったもの。カメラ、スマホ、小さな財布、ポーチ・・・など入れたいものがしっかりあって、でも重いバッグは持ちたくない。そんな時に気軽に持てるように考えました。→冬の黒いバッグと同じタイプ
ショルダー用革紐とタッセルは、市販のバッグの取り外し可能なものを利用。革のミニタッセルや革のストラップは、以前紹介したように手作りするのも楽しいのですが、最近はチェーンやストラップなど取り外しできるものも多いので便利です。
小物用のポケットは外側1つ、内側に2つ。市販の大きなバッグに入れてバッグ・イン・バッグとして使ったり、カメラを入れたり・・・。気軽に使えて便利なデニムのクラッチ&ショルダーシリーズです。※3
※1 デニムの語源は「Serge de Nîmes(セルジュ・ドゥ・ニーム)」=「南フランスのNîmes(ニーム)のサージ織(綾織り)」とされ、「Serge de Nîmes」→「De Nîmes」→「デニム」となったといわれています。また、ジーンズの語源はイタリアのGenova(ジェノバ)に由来するとも言われていて、アメリカのイメージがある「ジーンズ&デニム」の起源がヨーロッパというのは興味深いな・・・と思います。
ちなみに海辺のストライプ-デュフィのブルーとオレンジ色で紹介したバッグも南フランスの生地とデニムを合わせています。こちらは無意識に選んだ組み合わせでしたが、やっぱりデニムには南フランスのDNAが引き継がれているのかもしれません・・・。
※2 「ボンドで貼って作るバッグとこもの」の本では、「クラッチバッグ(ショルダーにもなるタイプ)シリーズ」の中で一番簡単に作れる「基本タイプ」を紹介しています。デザインや組み立てがややこしくならないように、とか、寸法もシンプルに見えるように6の倍数で、とか、できるだけわかりやすい形にしてみました。金具や細部など様々な工夫や応用でいろいろと変身できるアイテムです。
※3 1枚目のコラージュ画像、真ん中はシルバーグレイと桜色2 -春のバッグ2種で紹介した「Dolce(ドルチェ)」バッグの色違い。こちらはちょっと面白いシリーズなので、また別の機会に・・・。