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イングリッシュガーデンと斜め格子の仕切り箱

下の画像は2018年にアップしたもの。あとで画像と文章を追加しようと思っていたのに、1枚だけ写真を載せて放置したまま2年以上が経ってしまいました。

こんな感じで、続きを書こうと思いながら年月が経っているものがいくつかあるので、少しずつ加筆していこうと思います。(写真だけ準備していて、何を書こうと思っていたのか全く???のものもあって困りますが・・・涙)


・・・ということで、以前の記事に画像と文を追加しました。

癒しのガーデンと深緑色(ふかみどりいろ)の作品

今回はその続きです。

上の写真は、2016年の夏、「蓼科高原 バラクライングリッシュガーデン」を訪れた時に撮ったもの。英国園芸研究家のケイ山田さんが日本初の英国式庭園として1990年に開園した施設で、四季折々の植物が楽しめる素敵な場所です。

訪れた時は8月の初め、猛暑の東京から逃げるようにして訪れた蓼科高原は涼しくて別世界。バラの時期は終わっていましたが、イングリッシュガーデンの美しい緑のグラデーションに癒され、夏の花に元気をもらいました。

白いユリとアナベルが作り出す清らかでさわやかな世界。ちょうどユリが開花して良い香りだったのを思い出します。ダリアの上のバッタも幸せそうです(下)。

今年2020年の夏はコロナ禍でどこにも行けずステイホームの日々でした。こんな風に昔の写真を見ていると何も気にせず出歩いていた時が懐かしい。ベンチに座って花に囲まれて森林浴できたら気持ち良いでしょうね。

植えてある植物の組み合わせが絶妙で、おそらくものすごく細かく計算されているのに自然でさりげない美しさ。 この素晴らしい庭園を30年も美しく維持し続ける影には、オーナーやスタッフ、ガーデナーさん達の絶え間ない情熱と愛情、努力があるたのだろうと感じます。

バラクライングリッシュガーデンさんの”ガーデンの様子”というページには、見ごろの花や庭園でのイベントなどがアップデートされていて、今年の秋の花やハロウィンのカボチャのディスプレイなど写真で楽しませていただきました。

 

 

さて、先の記事で画像を紹介した10年ほど前のカルトナージュ作品。この角度ではわかりにくいですが、引き出し付のアクセサリーケースです。

蓋に使った布は、2007年頃に繊細な感じが気に入って買ったのですが、後でよく見ると園芸がテーマということに気づきました。そこでガーデニングモチーフ(園芸模様)の布と呼んでいます。

広げるとこんな感じ(下)。花や枝のガーランドの斜め格子の中には鳥とリース、鉢植え、ガーデナー、果物かご、薔薇の一枝、池と鳥、ガゼボなどが並んでいます。

そういえば、「バラクライングリッシュガーデン」にも複数のガゼボがありました。

 

蓋を開けた写真です。アクセサリーケース風の箱の中にはちょっと変わった斜め格子デザインの仕切りを入れています。

実はこの深緑色の箱、2010年頃に2種類(下)作ったのですが、どうも気に入らず、未完成のまましばらく放置。その時に仕切りは入れていませんでした。

2,3年後、片付け物をしていた時に途中になっていた箱を発見し、じーっと見ていたら、斜め格子の仕切りを入れてみるというアイデアを思いついたのです。

箱の大きさに合う斜め格子をデザインして、早速作ってみたのですが、ピシッと美しく仕上がらずに失敗。方法を変えて作り直して、なんとか形になりました。

一度失敗するといろいろなことが学べます。(と、いつも失敗だらけの自分に言い聞かせてます)引き出しを開けた時はこんな感じです(下)。

教室の課題にも「仕切りのトレイ」や「仕切りのある箱」は複数ありますが、「斜め格子デザインの仕切り」はまだ課題に入れていません。作ってみたい方がおられるかは?ですが、 デザイン面だけでなく、作り方も普通の仕切り箱とは違うコツがあって、テクニックを学ぶのには面白いアイテムです。

 

ガーデニング模様の布は他の色もあって、ミニトランクには赤い布を使っています。

氷みたいなミニクリスマスツリーと赤×白のミニトランク(2009年)

上の写真にうつっている深緑色のライティングボードは、前に”葡萄狩り模様のToile de Jouy (トワルドジュイ)”のページで紹介したものです。

葡萄の収穫柄のライティングボードと小箱-ワインの季節によせて

 

 

 

金木犀の香りと江戸東京たてもの園(2017)-1

朝、窓を開けて、ほのかに漂ってくる金木犀の香りを感じたのは9月30日のことでした。

どこから流れてくるのでしょう。
公園や住宅街などあちこちの金木犀の花が一斉に開花したのでしょうか。
香りは日増しに強くなって、ほぼ1週間、甘く芳しい香りに包まれて過ごしています。

今年は出来るだけ外の風を入れながら過ごしているせいか、鳥の声や虫の声、雨が降る前の湿った風のにおいなどに敏感になっている気がします。

下の画像は2017年に撮った金木犀。このページで作品と一緒に紹介しようと準備しておきながら、3年間放置していたもの。
今年も忘れてしまいそうだったけれど、金木犀の香りが思い出させてくれました。

まだ香りが消えないうちに、まずは数枚掲載し、時間のある時に加筆していくつもりです。(2020/10/6)


———-以下、追加記事です(2020/10/27)———-

この金木犀の写真を撮ったのは、東京都小金井市にある「江戸東京たてもの園」

「江戸東京博物館」の分館として作られた施設で、文化的価値のある歴史的建造物が7ヘクタールもの広い敷地に移築され、見学することができる野外博物館です。

たてもの園の概要や詳細

園内マップ

ビジターセンターの両脇にあるのが写真の金木犀。

写真だとちょっとわかりにくいのですが、かなり大きな木です。

金木犀があるとは知らず、見たい建物があってたまたま10月に訪れたのですが、ちょうどよい香りが広がっている時で、幸せな気分になりました。

せっかくなので、2017年のアルバムファイルから「江戸東京たてもの園」の様子など少し紹介しましょう。

ちょうど柿の実も色づき始めた頃で、向こう側に見えるのは古い建築物。実際に使われていたものなので、ちょっとタイムスリップした気分が味わえます

園内は3つのゾーンに分かれていて、江戸時代の民家や政治家や建築家の自邸、明治、大正、昭和にかけての建物、珍しい看板建築などが移築され、屋外を歩くだけでなく中に入って見学できます。

内部のディスプレイもレトロで、1つ1つじっくり見るのが楽しい。

 

<江戸東京たてもの園と『千と千尋の神隠し』>

「江戸東京たてもの園」には『千と千尋の神隠し』のモデルになった(制作の際の参考にした)といわれる建物や意匠、造作が複数あります。昭和初期に建てられ、足立区千住にあった銭湯「子宝湯(こだからゆ)」もその1つ。下の写真の正面の建物です。

屋根の妻部分は、唐破風(からはふ)のデザイン。もともとお城や神社仏閣に使われていた日本の建築意匠ですが、時代とともに料理屋さんや銭湯などにも用いられるようになったそうです。

お風呂場では、見学の子供たちが楽しそうに浴槽内に入ったりしていましたが、ちょうど、誰もいなくなったときに撮った画像がこちら↓。壁面には、富士山や松、青空と湖(海?)が描かれ、なんだか『テルマエ・ロマエ』を思い出します。

下の『千と千尋の神隠し』の1シーンと比べると、カオナシの横の壁と背景の角度が似ていますね。

 

スタジオジブリは2020年9月、HP上でジブリ作品の静止画像の公開をスタートしました。著作権については「常識の範囲でご自由にお使いください」とのことなので、引用させていただきました。いろいろなシーンの静止画があって、また映画が見たくなってきます→スタジオジブリHP「千と千尋の神隠し」静止画

 

そして、『千と千尋の神隠し』関係で見逃せないのが、神田須田町にあった文具店「武居三省堂」の壁一面の引き出し。

引き出しの箱は桐のようですが、長年使いこまれた味わいが感じられます。

『千と千尋の神隠し』の中で、ボイラー室で釜爺(かまじい)が6本の手を使って引き出しから薬草を取り出すのは印象的なシーンでした。この静止画↓の右下に引き出しが見えています。

薬草といえば、古くから漢方の材料を入れる家具には百味箪笥(ひゃくみだんす)と呼ばれる薬だんすがあって、見たことがある方もおられるのではないでしょうか。富山県の薬種商の館 金岡亭でも壁面に薬箪笥が並べられている様子を見学することができるようです。

 

余談ですが、引き出しが整然と並んでいる道具や家具にはちょっと憧れがあります。私もずいぶん前にタッセルトランクなどで作りましたが、今は根気が続くかどうか…。※「カルトナージュBook(2009年マリア書房発刊)」に掲載。引き出しを開けた時の画像はこちらから

 

先の「武居三省堂」はもともとは書道用品を扱う卸として明治初期に創業し、その後小売りの文具店になったそうで、下の画像は引き出しの反対側の収納棚。間口が狭い建物ですが、両面ともすべて収納になっている上、よく見ると天井にも棚がしつらえてあり無駄がなく機能的。多くの商品を扱いながらも雑多な感じにならないよう、直線デザインが効果的に使われているなあと感じます。

 

 

さて、ここで作品画像もあわせて紹介しましょう。今回は金木犀の花と「江戸東京たてもの園」にちなんで、ちょっと古い(15年以上前に作った)作品の画像です。

下の画像は2004年のもの。ポストカード用の「ミニ掛け軸」の下に「筆箱、ペン立て、飾り箱」など直線の四角い箱をあしらい、小さな和のスペースを演出しています。

2004年にミニ作品展を開いたのが古民家を利用した建物だったということもあって、当時は和がテーマの作品を結構作りました。古い時代の丁寧な暮らしにあこがれて作った「裂地帖」には上の箱のブルーや藍色の縞の生地も入っています。

 

そういえば、「江戸東京たてもの園」には和傘のお店もありました。江戸川区小岩の和傘問屋の川野商店。内部は大正末期から昭和初期の店先の様子の再現だそうです。

竹の骨に和紙を貼って、防水のために植物油をしみこませて作る和傘。私も箱の材料に和紙を使うことがありますが、しなやかさと強さをあわせもつ素晴らしい材料だといつも実感しています。

「江戸東京たてもの園」を訪れた日はちょうどお茶会があり、お茶席が設けられているお庭や建物の前に赤い野点傘がありました。

自然の素材だけで美しく機能的に仕上げられる和傘。いつ頃まで普通に使われていたのか調べたら、洋傘の生産量が和傘を上回るようになったのはナイロンやポリエステルなどの化学繊維が使われ始めた昭和30年代だそうで、ちょっと驚きました。京和傘の日吉屋さんのサイトに和傘の歴史や作り方など、体験工房などが紹介してありましたので、ご興味のある方はぜひ。

 

キンモクセイは中国原産。オレンジ色の花びらの形はライラックと似ていますが、桂花茶や桂花陳酒のイメージもあって西洋というよりは東洋の印象が強い花です。

上の暖色系の作品は2003年から2004年頃に作ったもの(古いサイトの「About」ページに掲載)。着物地やベトナムやタイのシルクなどオリエンタルな材料を使っています。

金木犀の香りで始まった10月でしたが、もう木の葉が色づく頃となりました。

今年は世界的に大変な状況が続き、不安になることも多いですが、自分に出来ることをして乗り切るしかないですね。

皆さま、どうかよく食べ、よく寝て、暖かくして、身体を大切にお過ごしください。

 

 

癒しのガーデンと深緑色(ふかみどりいろ)の作品

濃い緑や明るい黄緑、灰色がかったスモーキーな緑に、銀色に輝くシルバーグリーン。その中にとけこむノリウツギのシックなピンク色やコリウスのえんじ色。

絵画のように絶妙で心惹かれる色や植物の組み合わせにはっとして足を止め、この景色を忘れないように撮っておきたいとシャッターを押したのは2016年8月初めのことでした。長野県にあるイングリッシュガーデンを訪れた時の写真です。

おそらくこの庭園のガーデナーさんは、さまざまな緑色と違う形の葉が折り重なって、このような美しい景色が出来上がることをイメージして植物を植えたのでしょう。目に良いといわれる緑色ですが、見ていると穏やかな気持ちになって精神的に落ち着くという作用もありますね。

この時訪れた庭園については、イングリッシュガーデンと斜め格子の仕切り箱に書きました。(2020/11)

「グリーンフィンガーズ(Greenfingers)」という映画を見たのはいつ頃だったでしょうか。2001年公開のイギリス映画で、実話をベースに作られた物語。刑務所の囚人達が園芸に取り組み、庭師となって王立園芸協会主催のフラワーショーに出場?という内容のコメディ要素のあるヒューマンドラマで、舞台となったコッツウォルズの景色や庭も楽しめました。

”Green  fingers(グリーンフィンガーズ/緑の指)”という言葉が、”園芸の才能があること、植物をうまく育てる能力”という意味で使われることがあると知ったのはこの時で、She has green fingers=彼女は園芸が得意だ、という意味。アメリカではShe has a green thumb(緑の親指)というそうです。

私自身は植物を枯らしてしまうことも多い無精者ですが、身近にはgreen  fingersを持っている人が少なくありません。

大切に育てた花や植物、庭の写真を時々楽しみに見せてもらいながら話を聞いていると、共通するのは、植物への愛情と根気、そして惜しみなく労力を注いでいること。やはり何かを育てることの原点はそこにあるのですね。

 

 

さて、今回は緑色をテーマに作品画像の写真を紹介します。日本では深緑(ふかみどり)色と呼ばれるダークグリーン。常緑樹を思わせる少し青みがかった暗めの緑色は、ガーデニングで使う長靴やスコップ、エプロンや園芸用品で見かけることの多い色です。

ブリティッシュグリーン?という呼び名もあったような、と調べてみたら、モータースポーツ界でこの深緑色がイギリスのナショナルカラーになっていた時があったそうで、今でも自動車の塗装色に使うBritish racing greenとして名前が残っているようです。

 

作品にも時々使うことがあって、カルトナージュの基礎作品のサンプル(2006年撮影)や

クリスマスの飾り用の作品(ちょっと写真が暗いけれど緑色です)。

大きめのカルトナージュの箱や小箱など。

箱の蓋に使っているのは、園芸(ガーデニング)がテーマの布です。

ガーデナーらしきお兄さん(おじさん?)もプリントされているのですが・・・

使ってしまうのは薔薇の部分だったりします。

手のひらサイズの小箱の後ろにちらりと見えるのは、バッグと小物シリーズの紙ばさみ。

教室の皆さんにはおなじみのフラットポーチのハードタイプで、袱紗になる実用品のシリーズです。

文学や芸術とも関係の深いイギリスの庭園。バーネットの「秘密の花園」やアリソン・アトリーの「時の旅人」、梨木果歩さんの「西の魔女が死んだ」など庭や植物と関係のある物語にも過去と未来をつないだり、人を癒したりする不思議な魅力があります。