どこか繊細でやわらかく、少し物憂げな感じがする日本の春の光。「春光うららかな」という表現がありますが、命を育んでくれる温かさも感じます。
そんな穏やかな光と相性がいいパステルカラーやシャーベットカラー。光の柔らかさが今の時期と似ていると感じて撮影日を見たら、ちょうど4年前の3月5日。2007年から2008年の作品を色別にまとめて撮影した時の画像です。
淡いトーンのアプリコットカラー、杏色。春の花としてすぐ浮かぶのは梅、桃、桜ですが、杏も花と実の両方が楽しめるバラ科の植物です。
左側の花は淡い杏色のヒヤシンス。こぼれ落ちた小さな花を見ていると、当時のヒヤシンスの香りがよみがえってくるような気がします。マルセル・プルーストの「失われた時を求めて」という小説の中に、紅茶に浸したマドレーヌの香りが幼少期の記憶を呼び覚ますという描写がありますが、反対に映像が香りの記憶を呼び起こすことも多いのかもしれません。
画像の真ん中の作品はマドレーヌ型にも似たシェルの形の箱 ※1。2008年にタイシルクで作った作品です。蓋のトップはシルクの上にオーガンジーを重ね、靄がかかったような感じに。
貝殻(Sea Shell)というと夏のイメージですが、春は貝類が美味しい季節。自然の恵みに感謝です。
※シェルの形の箱は2008年より「シェル型の小物入れ」という課題メニューとなりました。こちらで紹介したシャーベットオレンジの箱は教室の皆様に受講していただく際のサンプルの1つとなっています。