カテゴリー別アーカイブ: 花器(フラワーポットなど)

ドライフラワーの鶏頭と紫陽花とカルトナージュ ー2016年の秋の教室より

準備したまま数年間放置していた画像よりー 2016年10月26日の教室の一角の風景です。

手前には黄色い飾りかぼちゃ、りんご。色鮮やかだった鶏頭はドライになって色あせ、紫陽花も水分が抜けて紙細工のよう。

普段なら捨ててしまっていたけれど、色あせて古びていく姿がアンティーク調で、そのまま使ってみたのでした。

焼きたてのバナナパイと一緒に並べてみたり・・・

バッグや柿と並べてみたり・・・思い入れのある紫陽花だったので別れが惜しかったのかもしれません。

 

朽ちていく草花の横だと、10年ほど前に作った古いカルトナージュの作品も新しく見えたりします。

 

 

桜と薔薇モチーフの布1-平成最後のお花見によせて

2019年春、日本では平成最後の桜の季節。今年の関東は3月末から4月初めにかけて花冷えの日が続き、開花から2週間近く桜の花を楽しむことができました。

そして、いよいよ桜前線は北海道へ。4月22日に開花したそうで、美しい季節の始まりですね。東北や北海道の皆様、これから北へ向かう皆様、美しい桜とともに良い連休をお過ごしください。

さて、今回紹介するのは「桜と薔薇モチーフの布」。・・・2017年に「春のピンク色、花モチーフ」というテーマの中で紹介しようと思っていたのですが、時期を逃し、あっという間に2年が経ってしまったので、新たに今年の桜の写真を追加して・・・

春のピンク色、花モチーフ

<桜と薔薇モチーフの布>

15年近く前に見つけた淡い花柄プリントの布。薔薇の花柄は多いけれど桜の花のモチーフが入っているのが珍しくてつい買ってしまったもの。

イギリスのプリント生地なので、この花は本当に桜なのか、りんごや杏、アーモンドなどのバラ科の別の花なのかわからなかったのですが、その後、杏やアーモンドの花ではないことを確認したので、ここでは桜ということに。

ピンクだけでなくグレーの桜もあしらわれていて、ちょっと色あせたようなアンティーク風の雰囲気になっています。

桜にちなんだ日本の色名や淡墨桜(うすずみざくら)については、以前こちらの記事で書いたことがありますが、曇りの日の桜はまさに灰桜(はいざくら)、桜鼠(さくらねずみ)、薄桜(うすざくら)色。

単独だと寂しげですが、ピンクの花が少し入ると明るい感じに変わります。

このプリントには紫陽花も入っていて、その部分は少し華やか。

いつか収納箱を作ろうと思っていたのですが、2008年頃にバケツ形の器のサンプルを作って以来、なかなか使う機会がなくて・・・。

インテリアやファッションの流行もある中、柄としては好きだけれど実用品としては難しい、という材料なのかもしれません。→バケツ形作品の記事はこちら(マガジンラックとバケツ形の器)

 

<ソメイヨシノ(染井吉野)と次世代の桜、ジンダイアケボノ(神代曙)>

こんな風にずいぶん前に買って保管したままの布ですが、せっかくだから今年撮った桜の写真を添えようかな、とファイルを見ていたら、蕾の色や形がなんとなく似ている?ものがありました。

花びらと蕾のピンクのグラデーションがなんとも可憐なこの桜。ジンダイアケボノ(神代曙)という品種で、3月末に神代植物園にある原木を撮ったものです。

ジンダイアケボノ(神代曙)は、1991年に新品種として認定されたソメイヨシノの血を引く桜。

実はこの桜、ソメイヨシノよりも伝染病(テングス病)に強いことなどの理由で、近年寿命を迎えつつあるソメイヨシノの植え替えとして推奨されている品種だそうです。→参照:公益財団法人日本花の会

米国のワシントンD.Cとも縁があったりと、ちょっと不思議なエピソードを持っているので、ご興味のある方はチェックしてみてください。※1

ソメイヨシノの面影もありながら、よりピンクがかった花の色。丸く固まって咲く風情が可愛らしく華やかです。

次世代を担う桜、ジンダイアケボノ(神代曙)。昭和、平成を生き抜いたソメイヨシノとともに新しい令和の時代の春を彩ってくれるのが楽しみです。

今回紹介した桜とバラの布は、心惹かれて買ったのにほとんど使っていないという材料ですが・・・

同じ薔薇のモチーフでも、上↑のコラージュ画像に入っているこちらのシリーズ(下↓)は結構いろいろな用途に使っています。

次回は「桜と薔薇モチーフ2」として「バラ」をテーマにしたものを皆様の作品から紹介したいと思います。

※1ジンダイアケボノ(神代曙)についての関連記事

ジンダイアケボノ(神代曙):Wikipedia

「運命に翻弄される桜、ソメイヨシノ。代打はジンダイアケボノ!?」

 

秋色あじさいと紫色のロングトレイ、水彩画のようなトワル・ド・ジュイ

薄緑からうっすら赤紫を帯びた秋色紫陽花(あきいろあじさい)。季節が秋へ移っていきます。

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2010年ごろに作った赤紫色のロングトレイ。背景や手前のファブリックの間に埋もれていますが、水拭きできるよう考えた実用品で結構重宝しています。

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背景の布はトワル・ド・ジュイ。箱や小物にするには大柄すぎて、なかなか使う機会がないのですが、繊細な絵に惹かれて買ってしまったものです。

気候の良い秋か初夏の日なのでしょうか。水彩画のように写実的な表現で、川でお洗濯したり魚釣りをする風景が描かれています。古代遺跡のような建築物も興味深い。

橋の上にはヤギ(または毛を刈った後の羊???)がのんびり歩いていて、風にそよぐ木々の葉の音まで伝わってくるようです。

当時の風景や暮らしぶりがうかがえるのもトワル・ド・ジュイを使う楽しみの1つです。

ペールブルーの収納箱と折り畳みケースA2種(2007-2009年)

じめじめと 蒸し暑い日が続いているので、少しでも涼を呼ぶ画像を・・・・。 Camidecor1684 ペールブルーの材料を使った収納やバスケット。2009年頃からホームページに載せている画像※1です。 Camidecor1686 画像手前向かって左の作品は「曲線のオープンバスケット」。「四角いタイプ」と「台形のタイプ」を2つセットで受講できる教室の課題メニュー(選択制)。 Camidecor1687-1 実はこの作品、折りたためる収納箱。折り畳みボックスのシリーズはA,B,C,Dと幾つかのタイプがあって、構造や作り方もいろいろなのですが、この蓋なしのオープンタイプはAタイプと呼んでいます。Camidecor1688必要ない時はペタンと折りたためて便利なボックス。がっちりした箱もいいけれど、趣味や日用品のちょっとしたものを入れておくのに便利です。 Camidecor1685-1梅雨があけると夏本番。 ・・・海や山や高原に行って快適に過ごしたい・・・

 

※1 2枚目画像の作品・・・2段重ねの収納箱(かぶせ蓋)、アクリル(ガラス)入りのコレクションケース、ラウンドバスケット紙の靴(ペーパーで作るハイヒール/2011年書籍掲載作品)→両開きの箱と紙で作るシンデレラの靴

※2 折り畳みのオープンバスケット:四角形と六角形の2タイプ作るレッスン。今回紹介した曲線デザインのほか、シンプル好きの人のための直線デザインがあります。

赤い鶏頭(ケイトウ)の花と黒ベルベットの衝立

昔、鶏頭(ケイトウ)の花を見ると、なんだかグロテスクだなあ…と感じていたのはもしかしたら名前のせいでしょうか。

最近の鶏頭(けいとう)の花は、品種改良のせいかニュアンスのある色が多くなり、ベルベットを思わせる光沢のある花弁とフリルのような形で、ぐっとおしゃれな花材になっています。

鶏頭(ケイトウ)の花の海外名を調べてみると、英語ではcocks comb、フランス語crête-de-coq(クレートゥ ドゥ コック)、イタリア語creste di gallo(クレスタ・ディ・ガッロ)、中国語 鶏冠花。やはり鶏の鶏冠(とさか)を意味する名前が多いようですね。

古くは「韓藍(からあい)」という名で万葉集にも詠まれ、江戸時代には若葉を食用していた記録(貝原益軒著)も残っているとか。東南アジアやアフリカでは今でも食べられているそうですが、どんな料理に用いられるのか?ちょっと興味深いところです。Camidecor1544上の画像、花の背景として使っているのは、折りたたみの衝立(パーティション)の曲線タイプ。

2013年1月の「国際宝飾(ジュエリー)展」のディスプレイに協力した際に作ったもので、”本金に宝石をちりばめたカトラリー展示”の背景として使われた作品です。

”宝石入りの本金のナイフとフォーク(お肉を切るためのものではなく飾るための美術品)”という、普段の私には全く縁のない商品の背景。しかも急に追加になった備品なので材料の準備もない状況。「黒いイメージで」というリクエストに少々怖気づきながらも、なんとか手持ちの材料で仕上げて、当日の朝、眠い目をこすりながら会場に持って行ったのでした。

この衝立、裏と表の布使いを変えていてリバーシブルとして使えるのですが、画像(1枚目と2枚目)で違いがわかるでしょうか?フランスのインテリアファブリックと黒いベルベットの組み合わせを、裏表で上下逆にしているのです。

主役である金のナイフ&フォークを引き立てるディスプレイ用の衝立。私の手元にあるのはナイフ&フォークのデザイン画だけで、実際にショーケースの中に入ったところを見なければ、どちらが良いかわからない。そんな状況だったので、とりあえず、裏表を変えてリバーシブルになるように制作して会場でチェック。最終的には2枚めの写真の方が採用され、無事にガラスのショーケースに納まったのでした。

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黒い衝立(パーティション)の話が長くなりましたが、実はこの写真、インテリアファブリックで作ったフラットポーチこもの入れ(エルメスタイプのコインケースBの横長サイズ)と一緒に撮ったもの。

赤い鶏頭みたいな起毛の生地は、暑苦しい色・・・と思いながらも使ってみると、丈夫で汚れにくくてすごく便利。バッグの中で赤い色がぱっと目につくので、まず見逃すことがありません。・・・手前のポーチの赤いポンポンは邪魔だったので、今は外して使っています。

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※1作り方や材料、デザインを変えていろいろなパターンを作っているアイテムで、直線のシンプルな衝立(パーティション)はこちらで紹介しています。

※2「国際宝飾展」のディスプレイについてはこちらの記事でも紹介しています

※フラットポーチ、こもの入れのその他の画像・・・折り紙タイプのこもの入れA,B(エルメスの革製品みたいなジュエリー&コインケース)

バケツ形の器2(鉢カバーとフラワーポット)

さわやかな青空をできるだけ長く楽しみたいと思っていたのに、雨の季節がやってきました。

下の画像は前回に引き続き、円錐台の器(通称”バケツ形の器”)のサンプル。2007年前後に「鉢カバー」、「フラワーポット」として作った作品です。

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手前の白い鉢カバーは、5年前のちょうど今ごろ、紫陽花の鉢植えを入れるために急いで作ったもの。紫陽花の色が映えるように、オフホワイトの防水生地で作ったシンプルな作品で、どんな色にも合い重宝しています。

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こちらはピンク色の小さなフラワーポット。上の画像はユーカリの葉とアートフラワーとを組み合わせて入れていますが、ホームページトップの画像は薔薇の生花を入れたもの。はらはらと花びらが散ったところを写しました。(生花を入れる際は、小さなグラスに花を活け、そのままポットの中に入れています)

 

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シャーベットオレンジのアートフラワーを入れるために、同系色で作ったフラワーポット。手前の箱は、2007年制作のロングボックス(紅茶用ティーバッグなどのためのケース)で、イタリアのハンドメイドペーパーを使っています。

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紫陽花は、青空の下より曇り空や雨の中で見る方が一層美しいと感じるのは、日本ならではでしょうか。新緑がどんどん色濃くなっていく様子や、雨にぬれた鮮やかな紫陽花は、数少ない梅雨の楽しみの1つです。

マガジンバッグとバケツの形の器 

ゴールデンウィークになると、きまって報道されるのが各地の「潮干狩り」の様子。江戸時代の浮世絵にも描かれている春から夏の行楽行事で、あらためて日本は海に囲まれている国だと実感します。

下の画像は2006年8月の教室のために作った「マガジンバッグ」。ホビーバスケットの応用例です。

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フランスのTHEVENON社製の水遊びをする子どもたちが描かれた生地”Histoire d’eau”を使い、海辺の波をイメージしてデザインしたのですが、よく見ると水辺に”がまの穂”らしき植物が・・・。

錨や船が描かれているので、つい海辺の風景と思いこんでいましたが、がまの穂は海辺というより湖畔や沼地の植物...。

はっきりしたことはわかりませんが、”Histoire d’eau”という生地の名前を考えると、もしかしたら海(La Mer)だけでなく、湖畔のバカンスなども含めた”水辺のストーリー”が描かれているのかもしれません。(釣りや船遊びは湖でも楽しめます)

そんな風にいろいろ考えながら眺めるのが楽しい生地で、特に水色は夏のお気に入り。2006年から2007年、バッグやトランクなどの課題サンプル制作に使いました。

<バケツ型の器>

上の画像↑、マガジンバッグの隣でひっくり返り、貝殻がこぼれているように見える作品は布製のバケツ。通称「バケツ形の器」の課題のサンプルの一つです。Camidecor1308

円錐台(えんすいだい)と呼ばれるこの形、鉢カバー、フラワーベース、小物入れ、ランプシェードと様々な作品になって活躍してくれるため、教室では設計方法を学び、各自が好きな大きさ、形に作ります。

「サンプルがあった方がイメージしやすい」というご要望に応え、大きさや形を変えて10個以上作りましたが、実生活で活躍しているのは持ち手の無いタイプ。観葉植物の鉢カバーとして活躍してくれています。

下の画像は持ち手つきのタイプ。教室では、アイスクリームのカップみたいという声がありました・・・確かに。今はクリスマスの飾りのボールを入れたり、小物入れとして使っています。

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ランプシェードの基本タイプもこの設計が役立ちます。

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フランスではabat-jour(アバジュール)と呼ばれる、ランプシェードを作る工芸。以前は材料が入手しにくいなどの問題がありましたが、最近は日本でも手軽に作れるようになっています。