紙で作るデスク-ベルベット調ピンクの縞柄の失敗例

前回はディープピンクのケイトウの花の画像から、ピンクのベルベット(ビロード)調の生地を使った作品画像を紹介しました。

教室で皆様が作ったカルトナージュやバッグと小物など。滑らかな起毛がアクセントになっていて、深いピンク色がおしゃれな成功例です。

 

今回紹介するのは私の失敗例。ディープピンクが入っている起毛の生地を使って、うまくいかずにやり直した話です。

10年以上前に旅先で買った生地。ピンクの濃淡と白のストライプです。当時、インテリアファブリック業界で起毛素材の流行があり、モダンな起毛アクセントの生地を見かけるようになった頃でした。

旅の途中、日常とは違う気分で買い物をして、自宅に戻ってみると「あれ?こんなに派手だったっけ?」というのはよくあるパターンですが、私はそれが多くて反省することもしばしば。

実用品にするには強すぎて、しばらくそのまま置いておいたのですが、起毛素材なのでかさばります。収納スペースも使うし、何とか早く使ってしまいたい。ある時、そうだ、無地と組み合わせてアクセントにしてみよう。と思い立ち、自分用の四角いファイルケースの箱を作ってみたら、まあまあOK。

それで気をよくして、当時試作中だった「紙で作る家具と収納」※1にアクセントとして使ってみたのでした。

下は作りかけの自分用のPC用ミニデスクのアクセントにしてみた時の写真です。うーん。。。

派手ですよね。写真だとわかりにくいですが、幅1mもある大きなデスクにピンクのストライプって。子供部屋に置くわけでもないし、自分で使うにしても落ち着かない。

おそらく、海外のカラフルなインテリアが出てくる映画か何かを見て影響を受けたのだと思います。一緒に赤いランプシェードも作っています。

写真を撮ってみると、やっぱり派手すぎる。布合わせやデザインで迷った時、写真を見ると客観的な判断ができることがあります。さすがに、これはどこに置いても浮いてしまう。秋冬はいいとしても、夏にPCを使うときにピンクの縞模様が目に入ったら暑さが倍増しそう。

ということで、デスクのアクセントは元々考えていた地味な生地に交換し、やり直したのでした。

実はこの失敗したデスクの画像、当時からメインサイトのAboutのページに載せています。明るい色の画像を入れたかったのか、このピンクの縞柄デスクに未練があったのか…。「紙で作る家具と収納」は試行錯誤しながら取り組んでいるシリーズなので、失敗例も活動の記録ですね。

やり直して完成したデスクは、前に「紙で作るデスク、ブックエンドにもなる収納箱」で少し紹介していますが、今回は制作の舞台裏を少し書いてみました。

紙で作るデスク、ブックエンドにもなる収納箱-読書の秋によせて

写真の中に登場するスカラップデザインのオープンBOXや赤いランプシェードは、そのまま今も使っています。こちらは赤いシェードの色違い。今は古びてしまいましたが、グレーのスカラップデザインです。

 

※1「紙で作る家具と収納」についての補足です。10年ほど前からカルトナージュの技術を応用して、紙で大型収納や家具なども作っていて、たまにこのサイトにも登場します。(長年経って古びてきていますが、強度的にも問題なく使えているシリーズです)

冬の夜長と光のお話-ランプシェード1

 

ドライフラワーの鶏頭と紫陽花とカルトナージュ ー2016年の秋の教室より

準備したまま数年間放置していた画像よりー 2016年10月26日の教室の一角の風景です。

手前には黄色い飾りかぼちゃ、りんご。色鮮やかだった鶏頭はドライになって色あせ、紫陽花も水分が抜けて紙細工のよう。

普段なら捨ててしまっていたけれど、色あせて古びていく姿がアンティーク調で、そのまま使ってみたのでした。

焼きたてのバナナパイと一緒に並べてみたり・・・

バッグや柿と並べてみたり・・・思い入れのある紫陽花だったので別れが惜しかったのかもしれません。

 

朽ちていく草花の横だと、10年ほど前に作った古いカルトナージュの作品も新しく見えたりします。

 

 

ディープピンクの鶏頭(ケイトウ)とベルベット調のアクセント

鶏頭(ケイトウ)の花の色がぐっとオシャレになったのはいつ頃からでしょうか?

切り花として長持ちするし、色が褪せてドライになってからもアンティーク風に楽しめるので、毎年秋になると、暖かみのある深い色のケイトウを買うのを楽しみにしていたのですが、今年はいつもの花屋さんに行く機会がなくて残念です。

下の画像は2016年のもの。ケイトウの花のフリルのような形とこのボリューム感は独特です。

・・・と書きましたが、実は、このフリル部分は花ではなく、帯化(石化)と呼ばれる植物の奇形の一種が定着したものだそうです。花はフリルの下にあるぶつぶつした部分のようで、そういえば、ドライフラワーにしてみた時、フリルの下に黒い小さな種が沢山出来ていたのを思い出しました。

 

ふっくらと温かい感じがするのは、厚みとこの毛のせいでしょうか。ベルベット(velvet)※1のような艶やかな光沢もあって布のよう。やはり不思議な植物です。

 

寒くなってきた時に使いたい暖かみのあるディープピンク、今回はその中でもベルベット調の起毛がアクセントになっている作品を紹介します。

鮮やかな紫系のピンク色。ショッキングピンク、紅紫(こうし)色、マゼンタピンクの仲間に入るのでしょうか。その他にもアザレアピンクという色もあるようですが、ぴったりの呼び名が見つかりません。

明るくて元気が出る色なので何かを作っていると楽しい。でも結構強くてインパクトがあるので、アクセントに使ったり、他の素材や柄物と組み合わせたり。カルトナージュの中でも小さめの作品や、バッグと小物に使うことが多いかもしれません。

 

このディープピンク、フラットな布(上)よりもベルベット調の起毛素材になると、陰影と光沢が出て、ぐっと落ち着きが出ます。

この画像は教室に参加して下さった皆さんの作品です。インテリアファブリックを使うと大人っぽくシックに仕上がりますね。ディープピンクのベルベット調の起毛素材がそれぞれ素敵なアクセントになっていて、楽しそうに作っておられた皆さんの顔が浮かびます。

 

Kさん制作の眼鏡ケースB(上の画像左下)。私もおそろいの布を持っていて、前にがま口ケースを紹介しました。2013年頃に自由が丘のBeautiful Days(ビューティフルデイズ)さんで購入した生地で、今でも取り扱いがあるようです。(素敵なインテリアファブリックが見つかるお店です)

そして、当時一緒に購入したのが下の水玉の生地。2013年発刊の「ボンドで貼って作るバッグとこもの」の書籍に掲載する候補だったのですが、大きさなどの関係で見送りに。※2

その後、2015年1月のコニシさんの社内報の表紙イラストのモデルになった作品です。(接着剤を使ってバッグを制作している作家としてご紹介いただきました。バッグの後ろに描かれている雪だるまのイラストがほっこりします)

水玉にはディープピンクだけでなく淡いピンクも使われています。

どこかしらナチュラル感があるのは、麻やサンドベージュ、こげ茶などのアースカラーが組み合わされているからでしょう。

同じようなピンクの濃淡の起毛素材&白い色のストライプの生地を持っていますが(下)、こちらは意外と使うのが難しい。

このストライプの生地を使って失敗した例を紹介しようと思いましたが、長くなってしまったのでそちらは次回に。

今年は急に寒くなってきています。皆様、暖かくしてお大事にお過ごしください。

 

※1 ベルベット(velvet)は英語で、ポルトガル語ではビロード(天鵞絨/てんがじゅう)。ビロードは16世紀(安土桃山時代)にポルトガルからが日本に入ってきたそうです。ビロード(ベルベット)、べロア、別珍(べっちん)、コーデュロイ、光沢のある起毛材料を表す言葉は、厳密にいうとそれぞれ区別があって使い分けなければならないのですが、ここでは「ベルベット調」という表現でまとめています。

※2 起毛の水玉の生地は、色違いを以前紹介しています。

貼って作るバッグ・イン・バッグー水玉のマチ付ショルダーバッグ

 

イングリッシュガーデンと斜め格子の仕切り箱

下の画像は2018年にアップしたもの。あとで画像と文章を追加しようと思っていたのに、1枚だけ写真を載せて放置したまま2年以上が経ってしまいました。

こんな感じで、続きを書こうと思いながら年月が経っているものがいくつかあるので、少しずつ加筆していこうと思います。(写真だけ準備していて、何を書こうと思っていたのか全く???のものもあって困りますが・・・涙)


・・・ということで、以前の記事に画像と文を追加しました。

癒しのガーデンと深緑色(ふかみどりいろ)の作品

今回はその続きです。

上の写真は、2016年の夏、「蓼科高原 バラクライングリッシュガーデン」を訪れた時に撮ったもの。英国園芸研究家のケイ山田さんが日本初の英国式庭園として1990年に開園した施設で、四季折々の植物が楽しめる素敵な場所です。

訪れた時は8月の初め、猛暑の東京から逃げるようにして訪れた蓼科高原は涼しくて別世界。バラの時期は終わっていましたが、イングリッシュガーデンの美しい緑のグラデーションに癒され、夏の花に元気をもらいました。

白いユリとアナベルが作り出す清らかでさわやかな世界。ちょうどユリが開花して良い香りだったのを思い出します。ダリアの上のバッタも幸せそうです(下)。

今年2020年の夏はコロナ禍でどこにも行けずステイホームの日々でした。こんな風に昔の写真を見ていると何も気にせず出歩いていた時が懐かしい。ベンチに座って花に囲まれて森林浴できたら気持ち良いでしょうね。

植えてある植物の組み合わせが絶妙で、おそらくものすごく細かく計算されているのに自然でさりげない美しさ。 この素晴らしい庭園を30年も美しく維持し続ける影には、オーナーやスタッフ、ガーデナーさん達の絶え間ない情熱と愛情、努力があるたのだろうと感じます。

バラクライングリッシュガーデンさんの”ガーデンの様子”というページには、見ごろの花や庭園でのイベントなどがアップデートされています。今年は行けないので、秋の花やハロウィンのカボチャのディスプレイなど写真で楽しませていただきました。

 

さて、先の記事で画像を紹介した10年ほど前のカルトナージュ作品。この角度ではわかりにくいですが、引き出し付のアクセサリーケースです。

蓋に使った布は、2007年頃に繊細な感じが気に入って買ったのですが、後でよく見ると園芸がテーマということに気づきました。そこでガーデニングモチーフ(園芸模様)の布と呼んでいます。

広げるとこんな感じ(下)。花や枝のガーランドの斜め格子の中には鳥とリース、鉢植え、ガーデナー、果物かご、薔薇の一枝、池と鳥、ガゼボなどが並んでいます。

そういえば、「バラクライングリッシュガーデン」にも複数のガゼボがありました。

 

蓋を開けた写真です。アクセサリーケース風の箱の中にはちょっと変わった斜め格子デザインの仕切りを入れています。

実はこの深緑色の箱、2010年頃に2種類(下)作ったのですが、どうも気に入らず、未完成のまましばらく放置。その時に仕切りは入れていませんでした。

2,3年後、片付け物をしていた時に途中になっていた箱を発見し、じーっと見ていたら、斜め格子の仕切りを入れてみるというアイデアを思いついたのです。

箱の大きさに合う斜め格子をデザインして、早速作ってみたのですが、ピシッと美しく仕上がらず失敗。その後、方法を変えて作り直して、なんとか形になりました。

一度失敗するといろいろなことが学べます。(と、いつも失敗だらけの自分に言い聞かせてます)引き出しを開けた時はこんな感じです(下)。

教室の課題にも「仕切りのトレイ」や「仕切りのある箱」は複数ありますが、「斜め格子デザインの仕切り」はまだ課題に入れていません。作ってみたい方がおられるかは?ですが、 デザイン面だけでなく、作り方も普通の仕切り箱とは違うコツがあって、テクニックを学ぶのには面白いアイテムです。

 

ガーデニング模様の布は他の色もあって、ミニトランクには赤い布を使っています。

氷みたいなミニクリスマスツリーと赤×白のミニトランク(2009年)

上の写真にうつっている深緑色のライティングボードは、前に”葡萄狩り模様のToile de Jouy (トワルドジュイ)”のページで紹介したものです。

葡萄の収穫柄のライティングボードと小箱-ワインの季節によせて

 

 

 

ハロウィーンによせてー魔女のカフェと黒モチーフのトランク

2015年2016年2017年2018年、2019年に続き、ハロウィーンによせて写真の仮装。今年はフクロウも入れてみました。

ハロウィーンの夜(10月31日)に満月が出るのは46年ぶりとのこと。

そういえば、2015年の”ハロウィーンにによせて””は満月の写真でした。

湖に浮かぶ満月の写真は旅先で撮ったもの。ちょうど空が青く染まるブルーモーメントの空に、ホウキに乗った魔女を入れたつもりですが、わかってもらえるかどうか…。(PCのマウスで簡単に描いたイラストなので、どうかご容赦を)

かぼちゃと満月とハロウィーンナイトー魔女のバッグと黒い衝立

画像などもう少し追加します。

 

秋の実りとカーキ色-オリーブグリーンの大型収納(2010)とバッグ

気持ちの良い秋晴れの日が続いています。今年は長梅雨や猛暑で大変でしたが、台風の上陸がほぼなかった珍しい年だそうです。

秋の果物や木々の葉に台風の被害がなく、秋の実りや紅葉を楽しめるのはありがたいことですね。

上は2018年に旅先で撮った写真。いい感じに古びたアイアンのテーブルに葉っぱがついた栗やりんごがさりげなく置かれていて素敵でした。くすんだ緑色のモスグリーンやオリーブグリーン、カーキ色は秋になると使いたくなる色です。

そこで今回はオリーブグリーンというか緑系のカーキ色の材料を使った作品画像を2つ紹介します。落ち着いた暗めの緑色ってそれぞれ微妙に違う色で何と呼ぶか迷うけれど今回は「くすんだオリーブグリーン」ということに。

1枚目は「紙で作る家具と収納シリーズ」より2010年に作った大型の収納。紙で棚や収納を試作していた時の作品で手前に曲面が入った変な形。見た目と違って結構便利なので、長年教室の隅に置いて収納として使っています。格子状のリボンが入った天板部分は起毛のベロア調生地です。

次の画像はバッグ2種。ショルダーになる小ぶりのものと大型のトートバッグ。バッグ・イン・バッグとして使えて便利です。2015年頃に自分用に作ったもので、用途に合わせて設計できるのが便利なところ。旅行の前日に慌てて作ることも多いのです。

この時は秋冬ファッションに合わせるため緑系のカーキ(くすんだオリーブグリーン)をチョイス。アクセントにブラックの本革を合わせてシンプル&モダンな感じにしてみたのでした。

華やかではないけれどさりげなくて落ち着く色。好き嫌いは分かれるかもしれないけれど、個人的にオリーブやカーキは安心できる秋色です。

 

※10月6日の金木犀の写真のページに画像や文章を追加しました。

金木犀の香りと江戸東京たてもの園(2017)、『千と千尋の神隠し』の引き出し

 

金木犀の香りと江戸東京たてもの園(2017)、『千と千尋の神隠し』の引き出し

朝、窓を開けて、ほのかに漂ってくる金木犀の香りを感じたのは9月30日のことでした。

どこから流れてくるのでしょう。
公園や住宅街などあちこちの金木犀の花が一斉に開花したのでしょうか。
香りは日増しに強くなって、ほぼ1週間、甘く芳しい香りに包まれて過ごしています。

今年は出来るだけ外の風を入れながら過ごしているせいか、鳥の声や虫の声、雨が降る前の湿った風のにおいなどに敏感になっている気がします。

下の画像は2017年に撮った金木犀。このページで作品と一緒にこちらの続きを紹介しようと準備しておきながら、3年間放置していたもの。
今年も忘れてしまいそうだったけれど、金木犀の香りが思い出させてくれました。

まだ香りが消えないうちに、まずは数枚掲載し、時間のある時に加筆していくつもりです。(2020/10/6)


———-以下、追加記事です(2020/10/27)———-

この金木犀の写真を撮ったのは、東京都小金井市にある「江戸東京たてもの園」

「江戸東京博物館」の分館として作られた施設で、文化的価値のある歴史的建造物が7ヘクタールもの広い敷地に移築され、見学することができる野外博物館です。

たてもの園の概要や詳細

園内マップ

ビジターセンターの両脇にあるのが写真の金木犀。

写真だとちょっとわかりにくいのですが、かなり大きな木です。

金木犀があるとは知らず、見たい建物があってたまたま2017年10月に訪れたのですが、ちょうど香りが広がっている時で幸せな気分になりました。

せっかくなので、2017年のアルバムファイルから「江戸東京たてもの園」の様子など少し紹介しましょう。

柿の実も色づき始めた頃で、向こう側に見えるのは古い建築物。実際に使われていたものなので、タイムスリップした気分が味わえます

園内は3つのゾーンに分かれていて、江戸時代の民家や政治家や建築家の自邸、明治、大正、昭和にかけての建物、珍しい看板建築などが移築され、屋外を歩くだけでなく中に入って見学できます。

内部のディスプレイもレトロで、1つ1つじっくり見るのが楽しい。

 

<江戸東京たてもの園と『千と千尋の神隠し』>

「江戸東京たてもの園」には『千と千尋の神隠し』のモデルになった(制作の際の参考にした)といわれる建物や意匠、造作が複数あります。昭和初期に建てられ、足立区千住にあった銭湯「子宝湯(こだからゆ)」もその1つ。下の写真の正面の建物です。

屋根の妻部分は、唐破風(からはふ)のデザイン。もともとお城や神社仏閣に使われていた日本の建築意匠ですが、時代とともに料理屋さんや銭湯などにも用いられるようになったそうです。

お風呂場では、見学の子供たちが楽しそうに浴槽内に入ったりしていましたが、ちょうど、誰もいなくなったときに撮った画像がこちら↓。壁面には、富士山や松、青空と湖(海?)が描かれ、なんだか『テルマエ・ロマエ』を思い出します。

下の『千と千尋の神隠し』の1シーンと比べると、カオナシの横の壁と背景の角度が似ていますね。

 

スタジオジブリは2020年9月、HP上でジブリ作品の静止画像の公開をスタートしました。著作権については「常識の範囲でご自由にお使いください」とのことなので、引用させていただきました。いろいろなシーンの静止画があって、また映画が見たくなってきます→スタジオジブリHP「千と千尋の神隠し」静止画

 

そして、『千と千尋の神隠し』関係で見逃せないのが、神田須田町にあった文具店「武居三省堂」の壁一面の引き出し。

引き出しの箱は桐のようですが、長年使いこまれた味わいが感じられます。

『千と千尋の神隠し』の中で、ボイラー室で釜爺(かまじい)が6本の手を使って引き出しから薬草を取り出すのは印象的なシーンでした。この静止画↓の右下に引き出しが見えています。

薬草といえば、古くから漢方の材料を入れる家具には百味箪笥(ひゃくみだんす)と呼ばれる薬だんすがあって、見たことがある方もおられるのではないでしょうか。富山県の薬種商の館 金岡亭でも壁面に薬箪笥が並べられている様子を見学することができるようです。

 

余談ですが、引き出しが整然と並んでいる道具や家具にはちょっと憧れがあります。私もずいぶん前にタッセルトランクなどで作りましたが、今は根気が続くかどうか…。※『カルトナーBook(2009年マリア書房発刊)』に掲載。引き出しを開けた時の画像はこちらから

 

先の「武居三省堂」はもともとは書道用品を扱う卸として明治初期に創業し、その後小売りの文具店になったそうで、下の画像は引き出しの反対側の収納棚。間口が狭い建物ですが、両面ともすべて収納になっている上、よく見ると天井にも棚がしつらえてあり無駄がなく機能的。多くの商品を扱いながらも雑多な感じにならないよう、直線デザインが効果的に使われているなあと感じます。

 

さて、ここで作品の写真を1枚。三省堂さんからの流れで和風の文房具がテーマ。15年以上前に作った古い作品画像です。

2004年撮影の写真。ポストカード用の「ミニ掛け軸」の下に「筆箱、ペン立て、飾り箱」など直線の四角い箱をあしらい、小さな和のスペースを演出しています。

ミニ作品展を開いたのが古民家を利用した建物だったということもあって、当時は和がテーマの作品を結構作りました。

古い時代の丁寧な暮らしにあこがれて作った「裂地帖」には上の箱のブルーや藍色の縞の生地も入っています。

金木犀の香りで始まった10月でしたが、もう木の葉が色づく頃となりました。

今年は世界的に大変な状況が続き、不安になることも多いですが、自分に出来ることをして乗り切るしかないですね。

皆さま、どうかよく食べ、よく寝て、暖かくして、身体を大切にお過ごしください。(2020年10月)

 

折本の裂地帖と収納箱-七夕によせて

金木犀の香りによせて-オリエンタルな材料の古い作品

 

ハロウィーンによせて-妖怪と神話のモチーフ②(グロテスク模様)

 2015年2016年2017年2018年に続き、ハロウィーンによせて…。

今年も自分で撮った写真にいたずら書き-第5回目。

下は昨年旅先で撮った飾りかぼちゃの画像です。

昨年のハロウィーンでは「妖怪と神話のモチーフ」①というテーマで日本の妖怪にちなんだ画像を紹介しました。すぐに②を書こうと思たのに1年経過。今回は西洋の「妖怪と神話のモチーフ」というテーマで過去のファイルから写真を拾って載せたいと思います。

下はウフィツィ美術館の廊下の天井。16世紀に描かれたフレスコ画のグロテスク模様です。

異様なもの、奇怪なものを意味するグロテスク/grotesqueという言葉。グロテスク模様とは、古代ローマを起源とする美術様式のことで、伝統的な唐草模様(アラベスク)や曲線に奇怪な人物や幻獣、怪獣があしらわれた装飾です。

グロテスク模様の名前の由来は、ローマ第5代皇帝ネロが作らせた未完の「黄金宮殿(ドムス・アウレア)」。15世紀末にローマ近郊の洞窟(グロッタ)から宮殿群が発見され、その壁画に奇妙な装飾模様が描かれていたことが当時の建築装飾や画家達に影響を与えました。※1

半人半獣神のパン、スフィンクス、ハルピュイア(ハルピー/ハーピー)やグリフォン※2 ギリシア神話が好きなので、これらのモチーフが美しく優美に描かれている世界に惹かれます。

下はシエナ大聖堂のピッコロミニ図書館/Libreria Piccolominiの色鮮やかな天井の一部。幾何学的構成や緻密なグロテスク模様が美しいピントリッキオのフレスコ画で、皇帝ネロの宮殿群ドムス・アウレアの装飾を参考にしているそうです。保存状態がすばらしく、ずっと見ていられそうで首が痛くなります。

そして次はフランスのフォンテーヌブロー宮殿のマリー=アントワネットの居室「ブドワール/Boudoir)」の壁面装飾。(1785年頃)※3

バラの花が描かれるなど、18世紀末の新古典主義時代の軽やかで美しいグロテスク装飾。シンメトリーに配されているハルピュイア(女面鳥神)もどこかしらエレガントですね。

さて、このグロテスク模様のモチーフ、私もいくつかの作品で使っています。

右端のランプシェードはフランスのトワル・ド・ジュイの生地を使って。

そして、箱物にも。下の箱に使ったのは建築モチーフのペーパーで、左下の柱の下にはスフィンクスがいます。

神話や伝説に登場する魔訶不思議な動物は、いつの時代も人々を魅了します。

美術、芸術のインスピレーションになるだけでなく、ファンタジー小説や漫画、映画などのエンタメにも彩りを与えてくれていますね。

 

※1 ローマ第5代皇帝ネロが作らせた「黄金宮殿(ドムス・アウレア)」。西暦64年のローマ大火で土に埋まり洞窟(グロッタ/grotta)のようになったままだったが、15世紀末に発見され、その装飾が話題となった。その後、ルネサンス時代にラファエロ(1483-1520)らがヴァチカン宮殿のロッジアにグロテスク模様を優美に用い、その後ヨーロッパ各地に広がっていった。

※2 ハルピュイア(ハルピー/ハーピー)は女面鳥神(顔や上半身が女性で身体が鳥)の幻獣。グリフォンは鷲(ワシ)の頭&翼に獅子の胴を持つ伝説上の生物。どちらもギリシア神話に登場する。グリフォンはハリーポッターのヒッポグリフで有名ですね。実際の撮影に使われた動くヒッポグリフ(ちょっと怖い)↓ イギリスのワーナースタジオにて2015年撮影。

※3 Boudoir(ブドワール)とはフランス語で「淑女の私室」という意味で、貴婦人のプライベートを愉しむ部屋のことだそうです。

光のマジックとハロウィーン-妖怪と神話のモチーフ①

ギリシア・ローマ神話の女神のトランクとミネルバの梟(フクロウ)

 

 

紙で作るディスプレイボードと、シャビーシックの円形フレーム

柔らかな若葉の色が日増しに濃くなり、緑のグラデーションが美しい季節。ぐんぐん伸びていく草木に生命力を感じます。

今回紹介するのは2017年5月に撮った写真。10年以上前に作った”紙で作る家具シリーズ”の作品、丸いフレームやディスプレイボード、トレイの画像です。

カルトナージュの手法をベースにちょっと工夫して、ぱっと見て紙とはわからない仕上がりにした実用品。

当時はフレンチスタイルのシャビーシック(少し古ぼけた雰囲気)の感じを出したくて、額の中にはフランスの”Toile de Jouy(トワル・ド・ジュイ)”の布を入れたのでした。

白い大きなディスプレイボード(バックボード)は、バッグや小物の写真の背景として今までも度々登場。

普段は棚の上に置いていますが、軽くて移動が簡単なので、写真を撮る時の背景として利用しやすいのです。

 

さて、先の写真でガラスの器に無造作に生けてある、春から初夏の草花。

ミヤコワスレ (都忘れ)、シラン(紫蘭)、バイカウツギ(梅花空木)、ハルノタムラソウ、アイビー、レモンバーム、ミント、ラムズイヤー

茶花(ちゃばな/ちゃか=お茶席の生け花)などにも使われる、シランやミヤコワスレ、バイカウツギなど、つつましく清楚なたたずまいの花には、潔さと清々しさを感じます。

自然の花の美しさを、シンプルでありながら最大限に際立たせる茶花。そして、茶花についての千利休の教え「花は野にあるように」という言葉がとても好きで、心はその究極の美を求めているのですが…

現実はなかなかそうもいきません。

バタバタした普段の生活では、手早くささっと切って無造作にグラスに入れるのが精一杯。「野原でもこんなに雑に咲いてないよ~」という風情になってしまっていますね。

理想と現実はなかなか相容れないものです。

上の画像の作品、丸いフレーム(2007年制作)に入れた、”Toile de Jouy(トワル・ド・ジュイ)”の布。 当時作ったトランクBにも同じ材料を使っています。→夏休みの楽しい計画(トランクB)

フレームに使ったのは↑この部分。木々や草むらに囲まれた気持ちよさそうな場所で楽しんでいる2人の男女。青年はフルートを奏でており、のどかな風景。

この布にプリントされている風景は数パターンあって、下は別のシーン。時代や地域、ファッションは変わっても人間自体はあまり変わりませんね。(後ろのキューピッドの像?も、はしゃぐ2人を横目にやれやれといった顔?)

ところで、カップルの横にいる動物は犬ではなく羊たち。

偶然ですが、上の草木の写真↑の中に、ラムズイヤー(lamb’s ear/子羊の耳)というハーブが入っています。

肉厚で柔らかな毛に覆われた葉は植物というより動物の一部のよう。「子羊の耳って想像はつくけどよく見たことはない。実際はどんなかな?」と思って検索してみたら、子羊の姿の可愛いこと。草も花も動物たちも、自然の造形って素晴らしいですね。

 

 

***2017年に準備した画像や書きかけた記事を整理し掲載しています***

<追記>『すずらんとすみれの刺繍フレーム』に画像追加&加筆しました。

5月の空とライラック-淡紫色のテープケース

5月の清々しい青空を背に咲いていたライラックの花。ジャスミンや金木犀と同じモクセイ科で、花からはふわりと良い香りが漂います。

東京ではもう見頃は過ぎたけれど、札幌では5月の中頃からライラック祭りが始まり、大通り公園では約400本のライラックが見られるそうで、いつか行ってみたいものです。

さて、今回紹介するのは淡い紫がベースの布を使ったマスキングテープケース。2013年~2014年にサンプル制作をしたもので、持ち運びできる横長の収納箱です。

画像ではわかりにくいのですが、ちょっと変わった内部構造になっていて、そこがテクニックのポイント。様々な技法の組み合わせが必要で、中上級者の皆さんが楽しんで作って下さっている課題です。

色に合わせてこのケースにはシルバーや紫系のテープを収納。他にもブルー系のサンプルがあります。

細かなレース細工のようなライラックの花。そういえば、最近、花モチーフのレースのスカートの女性をよく見かけますね。

ライラックの花は4弁。たまに5弁のものが見つかるそうで「ラッキーライラック」と呼ばれ、幸せを運ぶといわれているそうです。(↑画像をまじまじ見たけれど、5弁はなさそう…残念)

ところで、今回紹介した薄紫の布ですが、「花びら巾着の作り方」でも使っています。

あの時は、「紫陽花のイメージ」で作ったけれど、ライラックの花に見立てることもできそうですね。

ライラックはフランス語ではリラ(Lilas)。和名は紫丁香花(ムラサキハシドイ)。日本に入ってきたのは明治期だそうです。

ライラックについては、前に以下のページでも書いています。

手芸まわりの小物入れとブックカバー/2007-赤毛のアンとライラックの季節によせて

すみれの花とライラック柄のダブル眼鏡ケース(2009)

 

すずらんとすみれの刺繍フレーム(2007-2017年)-すずらんの日によせて

「5月1日はフランスではすずらんの日だそうです」と、すずらんとすみれのカードを紹介したのは2013年のことでした。

すずらんとすみれの花束 -カードと小箱-

それ以来2016年まで、この季節になると何かしらスズランの花の画像を紹介していましたが、ここ2年サボっていました。

実は2017年には画像を準備していたものの、タイミングを逃してしまって…。下が2年前の5月に掲載しようと思って2年放置していた「すずらんとすみれの刺繍フレーム」の画像※1です。

スズランやスミレの刺繍はずいぶん前の冬に気まぐれに刺したもの。刺繍用の布ではなく、何かの余り布を使っています。

刺した後は興味が薄れてしまって、ハギレと一緒に収納ケースに仕舞いこみ、このまま捨ててしまいそうになっていたものを救済。カルトナージュのOval(楕円)の額の中に入れて仕上げました。

下は当時のラフスケッチ。ミモザの花束のフレームについてはこちらで紹介しています。

 

すずらんのフレームの斜め上に写っているのは「すみれの刺繍フレーム」。肝心のすみれがパンジーをミックスしたような感じで、酔っ払って踊っているような雰囲気でちょっと変ですね・・・

当時のスケッチを見ると、すずらんの図案が複数あるのに比べて、すみれの”おまけ感”・・・。

こんな風に下絵も描かずに思いのままに刺したので、不思議な感じになってしまったのでしょう。

「スミレ」という花は奥が深くて沢山種類があるそうですが、恐らくこういうすみれ↓と、

こういうスミレ↓の雰囲気を出したく、結局足して2で割ってしまったような感じになったのかな?と推測。作ったものを見ると、今さらながら詰めの甘い自分を思い知らされます。

ちなみにパンジーの花はこちら↓です。

毎年、この季節になるとスズランに会える場所。

光によって色の見え方が変わる包容力のある大きな葉と、ささやかにひっそりと咲く小さな鈴のような清らかな花を見ると幸福感に包まれます。

そういえば、すずらんの花は結婚式に使われることも多いそう。

特に英国のロイヤルウェディングでは、ダイアナ元妃の結婚式のブーケをはじめ、キャサリン妃(2011年4月29日)、メーガン妃(2018年5月19日)のウェディングブーケにもスズランが使われたそうです。

 

桜と薔薇モチーフの布1-平成最後のお花見によせて

2019年春、日本では平成最後の桜の季節。今年の関東は3月末から4月初めにかけて花冷えの日が続き、開花から2週間近く桜の花を楽しむことができました。

そして、いよいよ桜前線は北海道へ。4月22日に開花したそうで、美しい季節の始まりですね。東北や北海道の皆様、これから北へ向かう皆様、美しい桜とともに良い連休をお過ごしください。

さて、今回紹介するのは「桜と薔薇モチーフの布」。・・・2017年に「春のピンク色、花モチーフ」というテーマの中で紹介しようと思っていたのですが、時期を逃し、あっという間に2年が経ってしまったので、新たに今年の桜の写真を追加して・・・

春のピンク色、花モチーフ

<桜と薔薇モチーフの布>

15年近く前に見つけた淡い花柄プリントの布。薔薇の花柄は多いけれど桜の花のモチーフが入っているのが珍しくてつい買ってしまったもの。

イギリスのプリント生地なので、この花は本当に桜なのか、りんごや杏、アーモンドなどのバラ科の別の花なのかわからなかったのですが、その後、杏やアーモンドの花ではないことを確認したので、ここでは桜ということに。

ピンクだけでなくグレーの桜もあしらわれていて、ちょっと色あせたようなアンティーク風の雰囲気になっています。

桜にちなんだ日本の色名や淡墨桜(うすずみざくら)については、以前こちらの記事で書いたことがありますが、曇りの日の桜はまさに灰桜(はいざくら)、桜鼠(さくらねずみ)、薄桜(うすざくら)色。

単独だと寂しげですが、ピンクの花が少し入ると明るい感じに変わります。

このプリントには紫陽花も入っていて、その部分は少し華やか。

いつか収納箱を作ろうと思っていたのですが、2008年頃にバケツ形の器のサンプルを作って以来、なかなか使う機会がなくて・・・。

インテリアやファッションの流行もある中、柄としては好きだけれど実用品としては難しい、という材料なのかもしれません。→バケツ形作品の記事はこちら(マガジンラックとバケツ形の器)

 

<ソメイヨシノ(染井吉野)と次世代の桜、ジンダイアケボノ(神代曙)>

こんな風にずいぶん前に買って保管したままの布ですが、せっかくだから今年撮った桜の写真を添えようかな、とファイルを見ていたら、蕾の色や形がなんとなく似ている?ものがありました。

花びらと蕾のピンクのグラデーションがなんとも可憐なこの桜。ジンダイアケボノ(神代曙)という品種で、3月末に神代植物園にある原木を撮ったものです。

ジンダイアケボノ(神代曙)は、1991年に新品種として認定されたソメイヨシノの血を引く桜。

実はこの桜、ソメイヨシノよりも伝染病(テングス病)に強いことなどの理由で、近年寿命を迎えつつあるソメイヨシノの植え替えとして推奨されている品種だそうです。→参照:公益財団法人日本花の会

米国のワシントンD.Cとも縁があったりと、ちょっと不思議なエピソードを持っているので、ご興味のある方はチェックしてみてください。※1

ソメイヨシノの面影もありながら、よりピンクがかった花の色。丸く固まって咲く風情が可愛らしく華やかです。

次世代を担う桜、ジンダイアケボノ(神代曙)。昭和、平成を生き抜いたソメイヨシノとともに新しい令和の時代の春を彩ってくれるのが楽しみです。

今回紹介した桜とバラの布は、心惹かれて買ったのにほとんど使っていないという材料ですが・・・

同じ薔薇のモチーフでも、上↑のコラージュ画像に入っているこちらのシリーズ(下↓)は結構いろいろな用途に使っています。

縁に使ったピンクのストライプはこちら↓にも使っています。(画像をクリックすると記事が開きます)

次回は「桜と薔薇モチーフ2」として「バラ」をテーマにしたものを皆様の作品から紹介したいと思います。

 

※1ジンダイアケボノ(神代曙)についての関連記事

ジンダイアケボノ(神代曙):Wikipedia

「運命に翻弄される桜、ソメイヨシノ。代打はジンダイアケボノ!?」

 

桜と薔薇モチーフの布2-教室の皆さまの作品より

桜と薔薇モチーフの布-1」では桜にスポットをあてましたが、今回はバラの花に関連したものを皆様の作品から紹介したいと思います。

時代や流行が変わっても根強い人気のバラの模様。優雅で写実的なものからアール・ヌーボー、アール・デコの時代のデザイン、抽象的なものまで様々あって、教室の皆様の作品でも紹介したいものがいろいろ。

ただ、女性的な美しさからか、バラの花柄が入るだけで甘く優しくなってしまうので、スタイリッシュにしたい時はあえて避けたり、バラの花は好きだけれど実用品には使わないという方もおられます。

ローズモチーフを使って、甘く可愛らしくなりすぎずに仕上げたい時は色や使い方をちょっと工夫するのがおすすめ。以下はそんな風におしゃれにまとめた皆様の作品です。

1枚目はS・O様の作品。淡い水色のローズ模様を使って、ヴィクトリアンソーイング(縦型ソーイング)サシェの課題を作って下さいました。

刺繍が入った小物やリボン、待ち針の色まで揃っていて、細部まで完璧な仕上がり。手芸道具としての可愛らしさ満載なのに、ブルー×ホワイトのみですっきりとクールな印象にまとまっています。

 

ブルー&ホワイトのツールボックスはY様の作品。アンティーク調のローズ模様にあえて明るいブルーとナチュラルレザーの持ち手を合わせ、軽やかでおしゃれです。

 

曲線ラインのレターボックスの課題はY・O様の作品。全く違うテイストの2種類のバラ模様を使い、細いストライプで清涼感を演出。絶妙な組み合わせが素敵です。

 

内部が可動する曲面のボックスの課題はN様の作品。高級感のある茶のスエード調の布に薔薇のオーナメント。小粒のパールがホワイトローズにぴったり、シックで上品にまとめて下さいました。

 

その他、バラのモチーフをモノトーンでシックに使った皆様の画像など、まだまだ紹介したいものがあるのですが、そちらはまた別の機会にあらためて・・・。

 

<薔薇の花びらとローズブーケ&パールの丸箱(E・K様)>

古くから続くバラのモチーフの人気は、本物のバラの花にそれだけの美しさと魅力があるからでしょう。

短い時間で失われてしまう命の美しさを何かの形で表現し、とどめたくなってしまう。私自身も、かつて粘土細工や紙で薔薇の花飾りを作ったことがあります↓。(紙で作るシンデレラの靴

最後に紹介する作品は、バラのコサージュ(花飾り/アートフラワー)とカルトナージュを組み合わせた丸箱。E・Kさんの創作作品です。2015年、カルトナージュの丸箱の課題受講後に、ガーベラの花飾りの箱を仕上げてこられ感激しましたが、こちらはその1年後の作品。

お手製のアートフラワー(造花)の花飾りは、花びら1枚1枚をカットし、布の色に合わせて染めたものだそう。まさにオーダーメイドで色がぴったりですね。

手工芸とは異なるジャンルのお仕事を持っておられるので、アートフラワーやカルトナージュは趣味で楽しまれているそうですが、幾重にも重なるバラの花びらを表現するのは至難の業。

蕾の形や花びらが少しずつ開いていく様子や

透明感のある繊細な色合いも本物のバラのようですね。

クリーム色の花は難しそうですが

パールやシャンパンゴールドがアクセントの素敵なミニブーケの箱に。

もうすぐバラの花が美しい季節。

花の美しさだけでなく香りも楽しみの1つです。

※バラの画像は2017年、京成バラ園にて撮影したものです。

 

ミモザの日によせて-2017年の画像より

3月8日はミモザ(mimosa)の日。

春の光そのもののような黄色くて丸く可愛らしい小さなミモザの花。梅や桃や桜の花とは少し違う形で春を運んでくれるような気がして、このサイトでも何度かとりあげてきました。

以下は2017年3月に掲載しようと下書きしたまま放置していた記事。当時、インスタグラムの使い方の練習(?)などもしていて、そちらには画像をアップしたのですが、こちらはほぼ書き終えたのにそのままになっていたのでした。(今回当時のまま掲載しました)

ミモザの日によせて-ミモザの花束とイニシャルモノグラム

下は上↑の記事でも紹介したミモザの花束のフレーム。

2008年頃に作り始めたカルトナージュのフレームシリーズはサンプルが複数あって、布のほか、刺繍なども入れています。→布を入れたものはこちら(2008年の画像)にも

2017年の春にいくつか画像を準備して紹介しようと思っていたのですが、あっという間に夏になり、秋になり、そして2年が経ち・・・。

イニシャルモノグラム×ミモザのフレームも当時の画像があるので、後日掲載します。

 

※長い間掲載しないままたまってしまった古い作品の整理と記録のためにと、2005年からの古いHPの別館としてこのCami Decorサイトをスタートしたのは2013年の3月のことでした。(2013年以前の記事は、画像の日付をもとに遡って掲載したものです)

その後、3日坊主かな? 3年坊主かも・・・?と思いながら超マイペースで続けてきて6年が経ちました。(2005年から始めた教室は14年目となりました)

今年こそは定期的に更新しようと、クリスマスやお正月、バレンタインなど掲載しようと思っていた画像があったのですが手が回らず、書きかけの記事もたまっているので、3月を期にもうすこし”まめ”に更新したいと思います。

 

 

メタリックなシャンパンゴールドのクリスマスツリー2018

今年の12月クラスで教室の一角に飾っていた六角錐のクリスマスツリー。カルトナージュで作った六角錐にシャンパンゴールドの飾りをつけたものです。

昨年(2017年)、棚の整理で発掘した昔(2006年~2008年頃)のカルトナージュのクリスマスツリー。作りかけのものや廃棄寸前のものが複数あって、引っぱり出して並べた画像(右)。

その時見つけた作りかけの1つにメタリックなシャンパンゴールドの布を貼って、オーナメントをあしらって仕上げたもの。ワイヤーとかガラスの素材違いのメタリックカラーのツリーと一緒に並べてみました。

お揃いのリース(ゴミではありません)。 好みは分かれそうですが、自然素材もメタリックだと違った味わいが出てきてヴィンテージのものとも相性がいい。

昨年よみがえらせたカルトナージュのリスマスツリー各種。いろいろなタイプがある中で、一番難しいのは「ドア付きの六角錐のツリー」。

12月に課題として作って下さった方達がおられるので、別の機会に紹介したいと思います。

蘇ったカルトナージュのクリスマスツリー(2006-2008)とくるみ割り人形

秋の色いろいろ 2006年秋の教室にタイムトリップ(タッセル付きのレターボックス)

デジタル画像をたくさん残せるようになって、画像ファイルを開けば簡単に数年前に遡れるようになりました。

秋の色いろいろ。下は2013年に撮影したもの。2005年に作ったホームページにこのCami Decorサイトを追加するため、イメージ写真を撮った時のものです。

2013年の9月に旅先で撮った柘榴(ざくろ)の写真。秋の日に照らされ鮮やかに輝いています。

下は旅先でみつけた秋色かぼちゃ。10年以上前の10月の写真です。

当時はデジタルカメラの画素数も少なくて、一部を拡大すると不鮮明になりますね。

そしてもっとさかのぼって、下は2006年11月4日に撮った教室の風景。2005年からの課題「タッセル付きのレターボックス」などが飾られています。デジタルカメラ撮影ですが、当時はまだデータ保管の容量が少なくて、枚数を制限して撮っていた時代でした。

この風景も2,3枚しか撮っていませんが

よく見ると。。。なぜ箱が曲がってる?どうして直さなかった?

タイムトリップして13年前の自分にダメだししたい。詰めが甘くて大雑把な性格は今でも同じだな、とため息が出てしまう秋の1日でした。

追記:タイムトリップ、タイムスリップ、タイムリープにはそれぞれ違いがあるようです。自分の意志で時間移動するのがタイムトリップ、機械やアクシデントで時間移動するのがタイムスリップ、自分の超能力で時間移動するのがタイムリープだそうです。

 

タッセル付のレターボックス-皆さまの作品より

光のマジックとハロウィーン-妖怪と神話のモチーフ①

2015年2016年2017年に続き、ハロウィーンによせて…。

前回までは自分で撮った画像にコウモリや蜘蛛の巣を書き込んだりと、ちょっといたずらしたものを紹介してきましたが、今回はそのままの写真。京都の高台寺の夜間拝観で観たプロジェクションマッピングの画像です。

撮影したのは昨年(2017年)の11月。紅葉のライトアップを見ていたら、突然始まった光と音の演出。静かな空間が一瞬にして別世界になりました。

闇の中、方丈前庭の波心庭(はしんてい)の枯山水の白砂が色とりどりに妖しく変化し、門や塀には竜の姿が・・・。その後、子鬼や妖怪が通り抜け、大きな閻魔様も登場。

2,3分ほどの短い時間ですが、効果的な音楽とともに昼間とは全く違う世界が繰り広げられ、文化遺産と現代技術が見事に融合した総合アートとなっていました。

ところで、この門を通り抜ける魑魅魍魎の姿、なぜかどこかしらユニークで憎めない。どこかで見たことがある・・・と後で調べたら、この妖怪達は、高台寺所蔵の「百鬼夜行絵巻」に描かれているものだということで納得。

妖怪って古今東西、愛されキャラというかユーモアのあるものが多いですね。

下は同じ日に撮った高台寺の竹林。夜空に浮かび上がるライトアップされた竹林はとても幻想的。月明かりのような光で、昔話やかぐや姫の世界を連想してしまいます。

<ダークカラーの和紙と竹林モチーフのファイルカバー>

さて、今回は上の画像からの流れで和紙を少し紹介します。下は2004年頃に作ったファイルカバー3種。竹林模様の和紙を使っています。

漆黒×ゴールドの繊細なデザインに惹かれて買ったものの、箱にするには渋すぎて、小さな作品にアクセントとして使ってみたのでした。

背景に敷いた黒、茶、グレーの和紙は10年ほど前に購入した京都の和紙。伝統的なモチーフとシックな色の組み合わせで、ちょっぴり男性的なデザインです。

そういえば、これらの伝統柄が外国のチョコレートにおしゃれにプリントされているのを見つけたことがあって、当時は、日本の伝統柄がこんな形で利用されているんだなあ、と驚きました。最近ではインテリアや食器、ファッションなど様々な分野で見かけるようになりましたが・・・。

ためしに、飾りかぼちゃや秋の果物、手元にあったフレームやタッセルと一緒に並べてみたら、ちょっと不思議な感じ↓。意外に違和感がないのは金色の細いラインのせいでしょうか。日本の伝統柄だけれどモダンなデザインです。

実は今回、ハロウィーンにちなんで、できれば百鬼夜行や古い日本の妖怪を使った材料を紹介したかったのですが、さすがに持っていませんでした。

ただ、神話のモチーフという意味では、東洋の竜や鳳凰は布や織物、着物や帯地に使われ、作品の材料としても使ったことがあります。

また、西洋の神話のキャラクターは、フランスの生地、Toile de Jouy(トワル・ド・ジュイ)などにも使われていて、中にはちょっと不思議な生き物?もいるので、そちらは「ハロウィーンによせて/2018-②」で紹介します。

(ギリシャ・ローマ神話の神々などの神話モチーフや天使については、以前、こちらの記事にも書いています)

ギリシャ神話の女神と星座-七夕によせて

黄金の月、秋の紫色ー秋のお月見によせて

夜風や虫の声が心地いい秋の夜。2018年のお月見、十五夜は9月24日、十三夜は10月21日でした。

下の画像ははいつかお月見の季節に紹介しようと思っていた和紙。10年ほど前に伊東屋さんで購入したものです。

淡い茄子紺のような紫色の背景に、一面に広がる薄紫の露芝(つゆしば)文様。丸い月を思わせる輪の中には、梅、笹、藤、楓、短冊などの伝統柄が描かれ、シャンパンゴールドの細い縁取りが繊細で着物のデザインのよう。

「露芝(つゆしば)文様」というのは、細い月のような円弧の芝草に露の玉が散らされたもので、誰もがどこかしらで見たことのある伝統柄。そして、その間から見える白いギザギザの模様は、「雪輪(ゆきわ)文様」の一部?と調べたら、「三日月雪輪文様」と呼ばれているそうです。

夜が更けてから見る月も綺麗だけれど、夕暮れ時、空の色が少しずつ変化していく景色もいいなあ・・・と昔の画像ファイルを見ていたら、紫色の空と満月の写真を発見。2008年9月に撮影したもので、ちょっとピンぼけですが、夕暮れの空と湖が薄紫に染まっています。

2008年頃というと、ちょうど曲線ラインの作品をいろいろ作っていた時期で、下の画像にもクネクネしたラインが複数・・・。紫色のベルベットの箱は秋冬に制作したもので、側面には紫がかったシャンパンゴールドの生地を使っています。

 

秋のお月見は実りの時期。ススキやお団子と一緒に里芋や栗、豆が供えられ、十五夜は「芋名月」、十三夜は「栗名月」(または「豆名月」)とも呼ばれるそうです。

 

癒しのガーデンと深緑色(ふかみどりいろ)の作品

濃い緑や明るい黄緑、灰色がかったスモーキーな緑に、銀色に輝くシルバーグリーン。その中にとけこむノリウツギのシックなピンク色やコリウスのえんじ色。

絵画のように絶妙で心惹かれる色や植物の組み合わせにはっとして足を止め、この景色を忘れないように撮っておきたいとシャッターを押したのは2016年8月初めのことでした。長野県にある「バラクライングリッシュガーデン」を訪れた時の写真です。

おそらくこの庭園のガーデナーさんは、さまざまな緑色と違う形の葉が折り重なって、このような美しい景色が出来上がることをイメージして植物を植えたのでしょう。目に良いといわれる緑色ですが、見ていると穏やかな気持ちになって精神的に落ち着くという作用もありますね。

この時訪れた庭園については、イングリッシュガーデンと斜め格子の仕切り箱に書きました。(2020/11)

「グリーンフィンガーズ(Greenfingers)」という映画を見たのはいつ頃だったでしょうか。2001年公開のイギリス映画で、実話をベースに作られた物語。刑務所の囚人達が園芸に取り組み、庭師となって王立園芸協会主催のフラワーショーに出場?という内容のコメディ要素のあるヒューマンドラマで、舞台となったコッツウォルズの景色や庭も楽しめました。

”Green  fingers(グリーンフィンガーズ/緑の指)”という言葉が、”園芸の才能があること、植物をうまく育てる能力”という意味で使われることがあると知ったのはこの時で、She has green fingers=彼女は園芸が得意だ、という意味。アメリカではShe has a green thumb(緑の親指)というそうです。

私自身は植物を枯らしてしまうことも多い無精者ですが、身近にはgreen  fingersを持っている人が少なくありません。

大切に育てた花や植物、庭の写真を時々楽しみに見せてもらいながら話を聞いていると、共通するのは、植物への愛情と根気、そして惜しみなく労力を注いでいること。やはり何かを育てることの原点はそこにあるのですね。

 

 

さて、今回は緑色をテーマに作品画像の写真を紹介します。日本では深緑(ふかみどり)色と呼ばれるダークグリーン。常緑樹を思わせる少し青みがかった暗めの緑色は、ガーデニングで使う長靴やスコップ、エプロンや園芸用品で見かけることの多い色です。

ブリティッシュグリーン?という呼び名もあったような、と調べてみたら、モータースポーツ界でこの深緑色がイギリスのナショナルカラーになっていた時があったそうで、今でも自動車の塗装色に使うBritish racing greenとして名前が残っているようです。

 

作品にも時々使うことがあって、カルトナージュの基礎作品のサンプル(2006年撮影)や

クリスマスの飾り用の作品(ちょっと写真が暗いけれど緑色です)。

大きめのカルトナージュの箱や小箱など。

箱の蓋に使っているのは、園芸(ガーデニング)がテーマの布です。

ガーデナーらしきお兄さん(おじさん?)もプリントされているのですが・・・

使ってしまうのは薔薇の部分だったりします。

手のひらサイズの小箱の後ろにちらりと見えるのは、バッグと小物シリーズの紙ばさみ。

教室の皆さんにはおなじみのフラットポーチのハードタイプで、袱紗になる実用品のシリーズです。

文学や芸術とも関係の深いイギリスの庭園。バーネットの「秘密の花園」やアリソン・アトリーの「時の旅人」、梨木果歩さんの「西の魔女が死んだ」など庭や植物と関係のある物語にも過去と未来をつないだり、人を癒したりする不思議な魅力があります。