折本の裂地帖と収納箱-七夕によせて

日本の五節句の1つである七夕のお祭り。七夕の由来は中国の乞巧奠(きっこうてん)という星祭りで、平安時代の宮廷行事では手芸やお裁縫の上達を願って五色の糸や針を供えたとか・・・。

昨年は七夕にちなんで、「星の形の小さなお針箱」を紹介しました。今回はずいぶん前に作った古い作品の画像を紹介します。

七夕にちなんだ1枚目の画像は、笹の葉と絹糸、短冊に見立てたクリスタルのオーナメントを組み合わせたもの。3つのビーズは夏の大三角形の星座(そのうち2つは織姫星と彦星)・・・ということにしておきましょう。

Camidecor1497

誰でも知っている、七夕の織姫(おりひめ)と彦星(ひこぼし)の伝説。電子メールやLINE、スカイプ等で誰とでもコンスタントにやりとりできる今の時代、会いたくても会えない・・・という物語は現実とかけ離れたものになってしまいましたが、「1年に1回しか会えない・・・しかも、雨が降ったら会えない・・・(涙)」というストーリーはよくできていて、ついつい毎年7月7日のお天気を気にしてしまうのが昔話のすごいところ。

ちなみに、織姫(おりひめ)は天帝(天の神様)の娘だそうで、その名前と仕事から、昔は織物や手芸、お裁縫などの手仕事が、女性にとっていかに重要だったか想像できます。

さて、今回紹介するのは日本の着物地で作った「裂地帖(きれじちょう=生地の見本帳)」。平成16年と書いているので、ちょうど今から10年前に作ったものです。

Camidecor1501-1

生地の見本帳というと、まずカーテン生地のサンプル帳が思い浮かびますが、イメージしたのはもう少し古いもの。折本(おりほん)という和本形式の裂地帖(きれじちょう)です。※以下は古い雑誌の切り抜き(参考画像)

Camidecor1501-3

裂地帖には表具屋さんなどが仕事で使うものから、文化財として美術館で見ることができる名物裂帖(古裂手鑑)古織紋鑑のようなものまで様々なものがありますが、舶来物の美しい織物や更紗(さらさ)の端切れが丁寧に貼られた折本は、宝箱がそのまま本になったよう。実際、その時代の絹織物は宝ものだったにちがいありません。

さて、私が作った裂地帖ですが、高価な生地用のものではなく、折本に生地を貼って並べるという発想が好きで作ってみたもの。生地を見ていると、作ったアイテムが思い浮かびます。

Camidecor1500-2

今まで使った生地を全て並べてシリーズにしたいところですが、気が遠くなりそうなのでそれは断念。古今東西の多様な材料が簡単に入手でき、自由に手工芸を楽しめる便利な時代に感謝しつつ、ちょっぴり不便な方が楽しみは見つけやすいかも・・・とも思ったりしています。

→少し大きい過去の画像、作った材料などにご興味のある方は2004年のページ(ふた付き木箱の活用)をご覧ください。

◆過去の作品画像について◆

過去のレッスン作品などの古い画像の一部を、時を遡って作品制作の年の欄に追加してみることにしました。2013年3月より前の記事は、当時の画像をもとに記憶をたどりながら書いているものです。