紙で作る軽くてシンプルな本棚、丸と直線のハーモニー

梅雨のどんよりした曇り空。雨に濡れた白い紫陽花を見ながら、昔は嫌いだった雨の季節が結構好きになっていることを実感。年齢とともに好みって変わりますね。Camidecor1658 15年ほど前のちょうど雨の季節だったでしょうか・・・。住宅のインテリアの仕事をしていた時、複数の人達と一緒に「今後のインテリア業界の動向」とか「トレンド」のようなもののインタビューを受けたことがありました。記憶が薄れていますが、確か、何かのマーケティングだったと思います。

会議室のような場所でテーブルを囲んで、それぞれテーマごとに意見を言っていく形式で、今後のインテリアの動向のようなことを聞かれた時、つい「DIYが流行ると思います」と言ってしまったのでした。

その時の他の人たちの「日本でDIY???」な感じと”アウェイ(場違い)”な雰囲気・・・。「ああ、的外れなことを言ってしまった・・・」感が忘れられず記憶しているエピソードなのですが、ここ数年、DIY女子のニュースを聞くたびに、今だったら同意してくれる人も多いだろうになあ・・・なんて懐かしく思い出しています。

DIYを楽しむ女性は、ペンキを塗ったり、壁紙を貼ったりはもちろん、ドライバーで木の棚や家具を作ったりしながら部屋をリメイク&改装する本格派も多いとのこと。 やっぱり”何かを作る”って楽しいですものね! 愛好家の増加とともに今後ますます材料やツールが入手しやすくなるといいな・・・と感じています。※1

Camidecor1659 さて、下の画像は紙で作った軽量の本棚。(紙で作る家具と収納シリーズより)

木で作りたい気持ちはあるものの、私にはのこぎりを使う体力&気力が不足しているので、身近にある紙と接着剤を使って作ったものです。スペースにぴったり納まる本棚で、軽くてしっかりしていて、3日くらいで作れるもの・・・ということで、2010年から2012年頃、いくつかの方法を試作していた時に制作しました。 Camidecor1656 棚の大きさや 強度などの関係で、真ん中は低い飾り棚に。片手で持てるほどの軽い本棚ですが、今でもずっしり重い大きめの洋書の収納として役立ってくれています。

話は変わりますが、下の 画像は京都で撮った丸窓で、真ん中に桟が2本入ったデザインのもの。丸窓というと、鎌倉の明月院(あじさい寺)や京都の源光庵の「悟りの窓」が有名ですが、丸く切り取られた自然の景色は心に響く美しさです。

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日本の建築には直線が多いので私たちは見慣れているけれど、自然界には存在しない直線の美。※2 和風建築が自然の美をひきたたせ調和しているのは、自然界にないデザインだからなのでしょうか。

いろいろなものを自分で手作りしていると、その道のプロの職人さん、マイスターの匠の技の素晴らしさに改めて気付く機会が増えてくる気がします。便利な材料が増え、簡単にハンドメイドができる時代だからこそ、「化学系の接着剤も電動ドライバーもなかった時代にこんなものを生み出した昔の人ってやっぱりすごい!」なんて心底感心できたりするのでした。

 

※1 DIYやハンドメイドに使える輸入壁紙のお店

WALPA・・・ 1mから切り売りしてもらえる輸入壁紙専門店。東京の銀座、恵比寿、大阪、名古屋、福岡などにショップがあり、壁紙の貼り方のワークショップもあるそうです。・・・教室でもこちらの壁紙を使ってカルトナージュのダストボックスを素敵に作っていた方がおられました。

ローラアシュレイ・・・1953年創業のイギリスのテキスタイル、ホームファ二シングのブランド。壁紙は1ロールからの購入ですが、花柄や古典柄など優しい柄が揃っています。6月から7月はちょうどセール期間のようです。

※2 自然界と直線に関する言葉より(自分のための備忘録メモ)・・・ ●”自然は曲線を創り、人間は直線を創る”:湯川秀樹氏、  ●”自然は直線を嫌う(Nature abhors a straight line)”:18世紀の英国の造園家&建築家 ウィリアム・ケントの言葉