箱を開けないと内部の構造がわからない箱を、教室では「シークレットボックス(秘密の箱)」と呼んでいて、四角い箱から筒型まで様々なサンプルを作っています。(前回の雪山リゾート柄の作品はシークレットボックスAタイプ)
ちょっと大げさな名まえですが、開けてみて「あらっ!」と思うささやかな仕掛けを自分で作れるのは魅力的。基礎作品から中級へ移行する際のウォーミングアップ的なアイテムとして楽しんでいただいているメニューです。
上の画像はシークレットボックスBで、Aとは少し異なるタイプ。内部構造のアイデアは無限ですが、1日で仕上げるには限度があるため、まずは複数のシンプルな収納箱にする方がほとんどです。
どんな用途に使うかは人それぞれで、以下に紹介するのは「お菓子を入れる箱にしたい」という素敵なアイデアのお2人の作品。
受講日は別々でしたが、偶然に同じアイデアで材料も同じガトー(洋菓子)モチーフの生地。それぞれ工夫をこらし、お菓子やキャンディを入れるのが楽しくなる可愛い箱に仕上がりました。
上段左と右は別の方の作品です。内側をストライプにした方は内箱に3色使ってポップな感じに。内側をお菓子柄にした方は内箱全部をピンクにして甘く優しい感じになっています。
「秘密の箱」というと、思い出すのは箱根の寄木細工のからくり箱。その不思議さと美しさはまさに日本の匠の技。最後に音が鳴る仕掛けもあったりと、幾重にも繊細な日本の伝統工芸品ですが、Japanese Pazzle Box、Trick Box、Secret Box と呼ばれ、海外にもファンが多いようです。
寄木細工の歴史は興味深く、古代シリアで生まれ、シルクロードを経て日本に伝わったとか -NHK美の壺「寄木細工」より。
明治時代、海外向けの輸出用に作られたものも多かったようで、家具などはいろいろしかけがあって、大きなからくり箱のよう。寄木細工コレクター金子皓彦氏所蔵のライティングビューロー(イギリスへ輸出されたもの)が、現在小田原城ミューゼの特別企画展「輸出工芸と職人技の美」で展示中です。