ファスナー付きのフラットポーチに続き、今回は「キャラメルポーチ」を縫わずに接着剤で貼って作る方法についてご紹介します。
昨年秋、書籍のために、いろいろな形のファスナーポーチを試作した中で、ぜひ紹介したいと思ったのがこのポーチでした。
直方体のファスナー付ポーチ。「キャラメルポーチ」と呼んでいるかは別として、愛用している人も多いのではないでしょうか。
私自身もいくつか持っていますが、まさか「ボンド」で貼って作ることになろうとは・・・。本にはちょっと変わった作り方を載せましたので、その背景について、少しまとめてみました。
<貼って作るキャラメルポーチ 2種類の方法「ソーイング方式」と「工作方式」の試作>
まず最初のサンプルは、”縫う”のと同じ発想の作り方「ソーイング方式」で試作 ※1。
問題なく仕上がったのですが、「ファスナー付きポーチ」の時と同じく、内側の糊(のり)代がどうしても気になりました。(ミシンを使う場合は、縫い代を出さずに作る方法もあるのですが、今回は縫い物をしたことがない人対象というコンセプトもあって、簡単な方法を選択しています)
うーん、どうしようか。縫い代にバイアスを貼って仕上げる形でもいいかな?でも、せっかく貼って作るなら内側もすっきりきれいに仕上げたいなあ・・・。
そして、秋の夜長、夜なべをしてたどり着いたのは、やはり「折り紙・工作方式」でした。
キャラメルポーチでの「折り紙・工作方式」というのは、ラッピングの”キャラメル包み”のイメージで作っていく方法。芯を使って1つ1つ糊代を貼っていくという方法で、ミシンを使う場合とは根本的に発想が異なります。
下は内部の仕上がりの違いです。↓
そこで、2つの方法の長所と短所をまとめて編集者さんに相談し、せっかく新しいクラフトの手法を紹介する機会なので、今回は内側もきれいに仕上がる「折り紙・工作方式」での作り方を書籍で紹介することになったのでした。
カルトナージュなどの工作が好きで、ミシンが苦手な方にはおススメの方法です。芯はしっかり仕上がる樹脂の芯を使って、糊代に接着剤(ボンド:多用途ボンドやカルトナージュ用がおすすめ)を刷毛で塗る方法で作っています ※2
上の画像は教室の皆さんが作ったキャラメルポーチ。ミシン目が出ないのですっきり仕上がります。(ファスナーと布がしっかり貼れている事が大事なので、はがれにくい接着剤を使うのがポイントです)
<「ボンド裁ほう上手」で貼って作るキャラメルポーチ 「ソーイング方式」の大まかな工程>
このような経緯で、今回の書籍「貼って作るバッグとこもの」には仕上がりの美しさを優先して「折り紙・工作方式」を載せましたが、両方の作り方を知りたい方もおられるのでは?と思います。
カルトナージュのように糊代を貼っっていくという作業に慣れていない方や、手縫いなどでソーイングに慣れている方は、「ソーイング方式」の方が親しみやすいかもしれません。
本に紹介できなかった「ソーイング方式」の工程を簡単にまとめましたので、「内側に糊代が出てもOK」という方は以下の方法をヒントに試してみてください。裏地をつけない一枚仕立ての場合も同じ方法で作れます。
上の画像は「ソーイング方式」で試作した2つのポーチ。不織布と布の接着芯2種類の仕上がり具合を比較したものです。両方とも見た目はそれほど変わらず仕上がりましたが、ハリが出るのは不織布の接着芯です↓。最近は100円均一ショップにも売っていて便利ですね。
接着剤はコニシの「ボンド裁ほう上手」を使用しています。「ボンド裁ほう上手」は化学繊維には接着しにくいので注意です。サンプルは綿のプリント地を使っています。
以下は大まかな作り方の画像です。(「レザータッセルの作り方」などのように、行程を紹介するための画像ではなく、編集者さんと打ち合わせるために試作時に撮った画像なので、画質が悪いのはご容赦ください)
1.まず、製図通りにカットした接着芯に、表布、裏布をそれぞれ貼ります。
2.ファスナーに貼る部分の糊代はボンドで貼って処理。その後、表布、裏布それぞれファスナーに接着。(「ボンド裁ほう上手」を使う場合はアイロンでしっかりと圧着)
3.ファスナーに両側とも貼ると、上の3つめの画像のように筒になります。その後、緑色の★印部分を内側に織り込んでボンドで貼り合わせます。(糊代を貼るときは裏返して貼ってもOK)
4.最後にオレンジの★印の糊代 を貼り合わせ、立体にして完成です。 糊代が気になる場合は、バイアステープを貼って隠すか、内側の布部分に貼ってしまうとよいでしょう。裏地をつけない1枚仕立ての場合は、ファスナー部分にテープなどを貼って補強すると強度がアップします。(市販のポーチでは内側に”縫い代”が出ているものも少なくありません)
「芯地」や「接着剤」との相性については、別にまとめて紹介したいと思います。
※1 ここでの「ソーイング方式」とは”貼って作る手法”の1つの呼び名で、”縫って作る方法”のことではありません。ちなみに、キャラメルポーチをミシンで縫って作る方法にも複数あり、今回の「布を畳んで両脇を縫うだけ」というのはかなり簡単な方法です。
※2 カルトナージュの作業に慣れた方が「折り紙・工作方式」で作る場合は、アイロンのいらない接着剤を刷毛で塗る方が作りやすいと思います。ただ、カルトナージュ作品同様、洗濯不可ですのでご注意を。