カラフルなミニタッセルの画像と一緒に紹介した『レザータッセル(革のタッセル)の作り方』。←細かく作り方を紹介しているので、ご興味のある方はどうぞ。
今回紹介するのは、バッグや小物に便利な「モノトーンやメタリックカラーのレザータッセル」です。
普段使うバッグや小物は黒や茶などが多いので、やはり重宝するのは定番の色。『レザータッセル(革のタッセル)の作り方』で紹介したフリンジを3つ折りに平たく折って、飾り部分をカシメ金具で留めただけの簡単なダブルタッセルは、軽くてかさばらないのが良いところです。 下の画像はゴールドやシルバーなどメタリックカラーの革やスエードを使ったもの。革を毛羽立たせて起毛したスエードは、陰影と深みのある色が楽しめます。
<房飾り、タッセル・フリンジと古代文明>
衣類や調度品の装飾として古く長い歴史がある房飾り(タッセル、フリンジ)。
日本や中国の掛け軸の房(風鎮:ふうちん)やお雛様の調度品の房飾りなどは、古くからごく身近な例の一つですが、世界各国様々なところで、房飾りやタッセルやフリンジの装飾の歴史の片鱗を見つけることができます。
下に紹介するのは、日本から遠く離れた地の古代文明の遺跡の画像。ロンドンの大英博物館に展示されているアッシリア(現在のイラク北部など)のレリーフです。(今から3000年近く前、紀元前860年頃から紀元前600年代に、アッシリアの首都であったニルムドやニネヴェの宮殿を飾っていたもの)
王や神々、精霊が描かれているレリーフ※1には、バッグのような小さな手桶(バケツ)と松ぼっくり(Bucket and cone)を持っている様子が浮き彫りにされていますが、これは繁栄を願うお清めの儀式のようなものを意味するとか。衣服の装飾をよく見ると、ローブの裾などに房飾りがほどこされているのがわかるでしょうか?(2種類あります) 下は別のレリーフの少し大きい画像(↓)。右画像の馬具につけられているものも房飾りのようで、洗練されたかっこいいデザイン。世界最古とされるメソポタミア文明。
上のレリーフに描かれている衣装や道具、繊細でダイナミックなデザインを見るだけでも、その文化がいかに高度だったかを想像させてくれますが、現在、メソポタミア文明が栄えた地域の国々(イラクやシリアなど)は、長い間の政情不安による治安の悪化のため、新しい発掘も難しい上、遺跡の管理も危機的な状況だとか・・・。1日も早く平和が訪れることを、心から願わずにはいられません。
<ちょっと脱線、世界最古の接着剤のお話>
ちなみに接着剤が広範囲に使われたという歴史も、メソポタミア文明の時代(B.C.3800頃)までさかのぼります。当時、建材や装飾のための接着に用いられていたのは天然のアスファルト。また、旧約聖書の「ノアの方舟」や「バベルの塔」にも天然アスファルトが接着剤として用いられたという記述があるそうです。
文明を築く上で重要だった”接着”という技術。
日本でも縄文時代後期に矢じりや土器、土偶の修復に、接着剤として天然アスファルトが使われていたそうで、一般的に「最古の接着剤はアスファルト」とされているようです。
※1 日本では岡山県の岡山市立オリエント美術館 に同時代のレリーフ「有翼鷲頭精霊像浮彫」の展示があります。東京近郊では横浜ユーラシア文化館、古代オリエント博物館(池袋)に古代オリエント関係の展示があり、夏休みには子ども向けの企画が催されるそうです。