カテゴリー別アーカイブ: Cartonnage(和/Japanese)

お花見と梅型の箱 -和紙で作るテーブル周りの小物と器

「梅や桜を楽しみながら・・・」という春のイメージで、2011年2月初めに制作したテーブル周りの小物入れ。2011年に刊行された「和紙で作るカルトナージュ小物」という書籍に掲載した作品です。Camidecor17もともと若い女性の編集者さんから「古い和のイメージとは少し違う感じで…」という依頼があったのと、4月に刊行される本だったので、春らしい感じにしたくてベースカラーはピンクに。

作品作りは2月の寒い時期だったので、脳内でお花見の季節をイメージしながらの作業でした。

桜や梅の花びらの透けるような質感やはかなげなイメージを表現する時、薄くて丈夫な和紙は相性がいい素材。

「女性が好きな感じで…」というリクエストもあり、和のお菓子や砂糖細工をイメージした淡い色を使いました。

締め切りがある仕事は、うまくいかずイライラしたり寝不足になることも多いのですが、繊細な和紙の手触りやパステルカラーに癒され、励まされながらの作業でした。

テーブル周りの小物入れというコンセプト。お花見の時期をイメージして箱の形は梅の花。箸置きに桜の花びらや扇のデザイン。梅の形のマット(折敷)は重ねて箱に収納できます。

右上の箱の内箱は星の形を模したもので、取り出してトレイのように使ってもOK。
Camidecor18
小さなグラスをのせたお盆は梅の箱の蓋部分です。Camidecor20

ピンク色だけではなく、様々な色の花が咲き乱れる春の庭。

黄色や黄緑。桃色、撫子色、サーモンピンクや珊瑚色、桜色。

淡い色の水色の空や若菜、萌黄、山葵色。

そんな春の色をイメージして、蓋のアクセントには和紙でリボンワークを施しています。Camidecor15

和紙で作る花びらの箱には桜の形もあり、そちらは別の機会に紹介します。

 

小さな掛け軸-1 -ひな祭りによせて

雛祭りの「雛(ひな)」という言葉は、小さなものという意味があるそうです。小鳥のひなからのたとえでしょうか。「雛菊(ひなぎく)」という花の名もその1つかもしれません。

枕草子にも「ひいな」という言葉がかわいらしいもの(うつくしきもの)として登場※1しますが、こちらは子ども達が遊ぶ小さな紙人形やおままごと道具の意味だとか。 可愛いものに魅かれる心は時を超えて不変だと感じます。

IMG_3069-6

さて、上の画像はカルトナージュの手法を使った「折りたたみ式の小さな掛け軸」。もともとは2005年のカルトナージュの作品展に展示するために考えた和の作品で、2011年の春「ミニ掛け軸」として書籍に紹介しました。

材料は向かって左からタイシルク、正絹、タイシルク(シャンタン)、それぞれに和紙を組み合わせています。和紙が正絹の着物地と合わせやすいのはもちろんですが、タイシルクとも相性が良いのはアジアつながりだからでしょうか。

Camidecor10

写真右上のように葉書立てとしても使える作品。→グリーンのサンプルを葉書立てとして使っている画像は引き出し付の違い棚と小さな掛け軸2で紹介しています。

IMG_8574-8

桃の節句が終わると、次は桜の季節。

上の画像は2007年春の教室のために撮影したもので、左下に少し見えるのは、桜の花びら型のナプキンリングです。

 

※1 枕草子 第151段「うつくしきもの(かわいらしいもの)」 に「雛の調度(ひひなのてうど」という言葉が出てきます。また、源氏物語に出てくる「ひいな遊び」も、子供たちの人形遊びやおままごとのような意味があるそうです。

ひな祭りの菱(ひし)形の箱(2009年)

やわらかな春の陽ざしと3月3日のひな祭り。可愛らしい雛人形や雛道具、お寿司やお菓子で祝う女の子の行事は春の訪れにぴったりです。

下の画像は2009年3月の教室のために作った「菱形(ひしがた)の箱」4種類のうちの3つ。ひな祭りにちなんで菱餅をイメージした作品です。

古来からの文様である菱形。ヒシ(菱)という水草の葉と実の形が名前の由来で、古典文様としてもおなじみですが、ひな祭りの菱餅の由来については諸説あるようです。(菱餅のピンク、薄緑、白にもそれぞれ意味がこめられているそうです)

IMG_6099-1

さて、こちらは一見3つとも同じ菱形の箱に見えますが、それぞれ違う構造です。左からかぶせ蓋、あわせ蓋、そして引き出し付きの箱。ピンクの箱は2つの引き出しが扇形に開きます。

IMG_6127-2

縁起の良い吉祥文様の扇形、内側に貼ってあるのは金色の和紙。

 

IMG_6109-6

そして、少し近づくと、なんとなく男雛と女雛に見えるでしょうか。

貝合わせの貝からこぼれる雛あられは色とりどりの刺繍糸で作った巻き玉なので、食べることができないのが残念です。

正絹格子柄の折本と収納箱-ふた付き木箱の活用法

和の着物地で作った「裂地帖(きれじちょう=生地の見本帳)」。 2004年は試行錯誤しながら厚紙で様々な実用品を製作していましたが、その際に作ったものです。 Camidecor1501 テーマは「和の折本(おりほん)」とそれがぴったり納まる収納箱。収納箱はガッチリした感じがほしかったので、蓋付きの木箱を一部利用することに。

Camidecor1499-3 まずは折本。デザインはあえて角をカットし、8角形に。表紙には墨で題を書いた和紙を貼って仕上げました。(制作年の字が和紙からはみ出していて、我ながら計画性の無さを感じます・・・ため息)

さて、箱は木箱を利用と書きましたが、布を貼ると蓋がかぶせにくくなるので、蓋のみ木製、身箱(下の箱のこと)は厚紙で作っています。 設計のポイントは、蓋に合うぴったりサイズにすること、木製の蓋に違和感のない厚みにすること。箱の底には綿を入れてふっくらとさせています。

Camidecor1500折本には窓を開け、布をのぞかせています。布を並べるのはインテリアエレメントのプレゼンテーションボード作りのようで、なかなか楽しい作業です。

さて、木箱の蓋は和風の箱になりましたが、身箱(下の箱)の方はどうなったかというと・・・。

厚紙で蓋などを作り、フランスのプロヴァンスの布を貼って「ブック型の箱」になりました。(ちなみにオリーブは本物です。当時、プランター栽培の小さな木にいくつかの実がなったので、記念に・・・)

Camidecor1502-2

ふた付き木箱1つを使って2つの作品が完成。一粒で2つの美味しさ(オリーブは食べられませんでしたが・・・)。カルトナージュ(厚紙細工)のテクニックを使ったリメイク。ちょっとした収納が欲しい時などにお勧めです。

***2012年以前の記事は、作品制作やレッスンの記録に合わせて日付を入れたものです。文章は当時を思い出しながら、2014年に記載しています***