カテゴリー別アーカイブ: 引き出しつきの箱

ちいさなお裁縫箱-シークレットボックス(秘密の箱)応用タイプ

箱を開けてみないと内部がわからない秘密の箱、シークレットボックス。

AタイプBタイプに続いて、以下はCタイプ。自由なアイデアで作る応用作品のサンプル(2007年制作)で、裁縫用小物のための小型の箱です。

Camidecor1379 上の画像は、箱を開いたところ。小さな引き出しやニードルブック(フエルトの針刺し)、ピンクッション、はさみなど、こまごましたものが収納できるようになっています。

 

Camidecor1380 箱を閉めると長方形のシンプルな形。 ごく限られた道具しか入らないので、実際の使い勝手は微妙ですが、雛道具を作るような楽しさと遊び心で仕上げたアイテムです。

 

Camidecor1381秘密の箱(シークレットボックス)のアイデアは無限なので、すこし頭の体操がしたい時に。

応用タイプは中・上級者向けの応用作品(選択制)のアイテムで、1日クラスでポイントを作り、あとは自分で仕上げる課題です。教室の皆さんが作品を無事完成して持ってきて下さり、サンプルよりずっと素敵に仕上がっているのを見るのがとても嬉しいひとときです。

今回のシークレットボックス、2008年に秋の実りと一緒に撮った画像もあって、そちらは以下の投稿で紹介しています。

栗色の眼鏡ケースAとポーチ-2008年秋の作品より

ビタミンカラーの格子柄-ハウス型ツールボックス(2008)

寒い冬の間、雪がちらつくのを眺めながら、暖かい地域でできた国産のフレッシュな蜜柑やネーブルなどの柑橘類を堪能できるなんて、よく考えると幸せなこと、細長い日本の形に感謝です。

みかんという果物は、あまりに身近にありすぎて、ついありがたみを忘れがちですが、あざやかなオレンジ色も、脳を刺激する香りも、甘くて酸っぱい味も全て、元気がもらえる冬の恵みです。

以下の画像は、ビタミンカラーのチェックを使った「ハウス型ツールボックス」。

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レモン、オレンジ、りんご、メロンといったビタミンたっぷりのフルーツを連想させるチェック(格子柄)の布。 箱にするには派手すぎるし、何か楽しい感じのアイテムにしたいなあと考えて作った作品です。(2008年制作で、画像は2009年の3月初めに撮影したもの)

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この細長い形の家の箱、実は収納箱になっていて、片側には複数の引き出し。

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窓やドアにも格子柄を少し入れて、持ち手は金具をつけています。

落ち込むことがあったとき、無意識に明るい色を選んでいるのは、なんとなく元気がもらえる気がするからでしょうか。好きな色でものづくりをするのは、確実にストレス解消や癒しの効果があると実感しています。

両側から使えるカルトナージュ2種 -手前に倒れる引き出しや皆様の作品など

※ハウスボックスA,B、Cタイプはこちらから

引き出し付の違い棚と小さな掛け軸2

2011年1月から2月に制作した「引き出し付の違い棚」。

「和紙で作る作るカルトナージュ小物」という書籍に作品と作り方を提供した際の作品です。

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本体(茶色部分)に使ったのは、杉皮で作られた珍しい和紙。ざっくりとした風合いの繊維の荒い素材ですが、丈夫な中にもなめらかさがあり、意外にも使いやすかった記憶があります。

和のイメージを演出したくて「違い棚」として載せていますが、もともとはシンプルな引き出し付の長方形のブロック3つ。ばらばらにしたり、好きな大きさを足したりして使うことが可能です。

引き出しは全て違う模様の和紙を使用。伊東屋さんで購入した京都の和紙、江戸唐紙、いせ辰さんの江戸千代紙などをミックスしています。

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和紙は昔から好きな素材ですが、この時あらためて感激したのは、和紙の扱いやすさと和の文様の美しさ。和のモチーフから影響を受けてきた海外のデザイナーが少なくないことが実感できます。

・・・教室で和紙を並べてうっとり見ている時、誰かが「ポールスミスのシャツのストライプだ!」と言っていましたが、確かめていないのでわかりません・・・

Camidecor1350上の画像はいせ辰さんで購入した江戸千代紙を並べたもの。額に入れてシンプルに飾っても素敵です。

下の画像は以前にも載せた、折りたたみ式の”ミニ掛け軸”ですが、中央部分に京友禅紙など好きな和紙を貼ってアクセントにしています。飾っているのは京都の唐長さんの小さな短冊。長方形に切り取られた中の色彩と文様の絶妙なバランス、手刷りの美しさは大きさ以上の存在感です。

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左側奥の花模様の和紙は、沖縄の紅型(びんがた)という染色技法で作られる着物のモチーフを和紙に染めたものですが、もう作られていないとのことで、とても残念。

日本の美しいモチーフや伝統技術が消えることのないよう、大切にしていきたいと感じています。

ドアタイプの引き出し2(マーブル紙を使ったキューブBOX)

梅雨特有のどんよりとした空が広がっていますが、夏至も過ぎ、暦の上では夏本番となりました。

2005年に教室を始めて以来、課題サンプルを作るのがライフワークになっていますが、湿度の高い梅雨から夏にかけては、軽めの素材を使った作品が多くなります。

布の場合は、さらりとした麻やコットン。そしてアートペーパーや和紙など。

下の画像は2008年に作った”キューブ型の箱(Cube Box)”。「ドアタイプの引出し」の課題サンプル(選択制)で3種類のうちの1つです。※3月に載せた「菱形の箱(扇形の引出し」もその1つ。

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ドア型の引き出しのテクニックに加えて、箱の構造や曲線の飾り窓など、細かい部分の作り方を学べるように考えた作品で、ピンク色の部分はイタリアのマーブル紙を使っています。

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16世紀にトルコから”エブル”としてヨーロッパに伝わったマーブル紙。溶液に流した絵の具で模様をつくり、それを紙に写すという技法で、17世紀にはヨーロッパ諸国で生産され、製本や実用品に使われてきました。マーブル(大理石)模様から孔雀の羽根、小石、雲柄など様々なデザインが生み出され、大変な人気を集めたそうです。

その後、機械でマーブル模様を作る技術が開発され、ハンドメイドのマーブル紙はしだいに少なくなっていったとか・・・。現在では、マーブル紙作家による作品のほか、イタリアのフィレンツェでは、今でも伝統工芸として昔ながらの技術で作られたものが販売されています。(日本にも輸入されています)

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独特の雰囲気があって、とても好きな素材なのですが、同じものがない一点もののペーパーなので、失敗が怖くて思い切った使い方ができず、小さめの作品に少しずつ使っています。(画像ブルーの作品は2005年制作のカードケース)

そして、マーブル紙の作り方とよく似ているのが、日本の「墨流し」という技法。

その歴史は平安時代にさかのぼり、短歌などを書く優雅な料紙として使われました。日本に現存する最古のものは1118年ごろ宮廷で制作された「西本願寺三十六人集」といわれ、その書と料紙の美しさは1000年近く前に作られたものとは思えないほど。マーブル紙の技術が東洋から西洋に伝わったという説にも頷けます。(中国には唐王朝時代の流し絵模様の陶器が残っており、宋の時代の記録に「流沙紙、彩霞紙」の製法が記されているそうです)

和紙だけでなく、着物や帯の文様としても使われる日本の「墨流し」。流水にも似た涼しげな文様の材料を使って、夏を演出する小物作りを楽しむのも良いかもしれません。

ひな祭りの菱(ひし)形の箱(2009年)

やわらかな春の陽ざしと3月3日のひな祭り。可愛らしい雛人形や雛道具、お寿司やお菓子で祝う女の子の行事は春の訪れにぴったりです。

下の画像は2009年3月の教室のために作った「菱形(ひしがた)の箱」4種類のうちの3つ。ひな祭りにちなんで菱餅をイメージした作品です。

古来からの文様である菱形。ヒシ(菱)という水草の葉と実の形が名前の由来で、古典文様としてもおなじみですが、ひな祭りの菱餅の由来については諸説あるようです。(菱餅のピンク、薄緑、白にもそれぞれ意味がこめられているそうです)

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さて、こちらは一見3つとも同じ菱形の箱に見えますが、それぞれ違う構造です。左からかぶせ蓋、あわせ蓋、そして引き出し付きの箱。ピンクの箱は2つの引き出しが扇形に開きます。

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縁起の良い吉祥文様の扇形、内側に貼ってあるのは金色の和紙。

 

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そして、少し近づくと、なんとなく男雛と女雛に見えるでしょうか。

貝合わせの貝からこぼれる雛あられは色とりどりの刺繍糸で作った巻き玉なので、食べることができないのが残念です。

引き出し付きの卓上シェルフ-皆様の作品より

カルトナージュ中上級者のレッスン課題(選択制)の卓上シェルフ。重要な部分は1日で終わるため、残りは家で仕上げをする方が多い作品です。(サンプルは2008年制作)

大きいサイズで完成品を持ってきていただくのが難しいこともあって、受講者全員の画像が残っていないのが残念ですが、素敵に完成したお2人の作品を紹介します。

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まずは可愛さがたくさん詰まった引き出し付のシェルフ。ソフトな色調、子どもと犬、ストライプ、水玉。そしてスカラップデザイン。見ているだけでほのぼの幸せな気持ちに。

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引き出しは取り出してミニ小箱としても使えます。こまごました道具を入れたり、文房具を入れたり・・・。シェルフの棚はある程度の重さまで耐えられるような構造にしています。

もう1つはクラッシックデザインとスタイリッシュなテクスチャーを組み合わせたおしゃれな作品。水拭きできるフェイクレザー、オレンジとライトグリーンの配色。モダンなインテリアスタイルにもなじみ、かつアクセントにもなるシェルフです。

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下はシェルフとお揃いの材料のスクエアバスケット。アクセントのエルメスのリボンがピリッと程よいスパイスに。

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好きな色、落ち着く形や柄、住まい方や使い方は人それぞれ。同じ課題でも、それぞれの個性が感じられる作品に仕上がると、とても嬉しく思います。