月別アーカイブ: 2013年7月

海辺の子どもたち-トランクB(ハードタイプ小型サイズ)

今年はもう終わってしまいましたが、7月の第3月曜日は「海の日」。「海の記念日」だった7月20日が祝日となり、1996年よりスタートした休日です。

ちょうど梅雨明けや夏休みと重なる時期で、いつもは海の日が終わると、夏の暑さ本番という感じだったのに、今年は7月初めの突然の猛暑。ここのところ少し暑さがやわらぎほっとしています。

下の画像は2007年制作のトランクB(ハードトランク)のサンプル。ペーパートランクA(3種)は比較的簡単に作れますが、こちらは難しい手法を学ぶ作品です。(サンプルは大、中、小の3タイプがありますが、一番小さいサイズです)→当時の作品画像はこちらのページ

青紫の紫陽花がバックの下の写真は2007年の5月末、ちょうど梅雨入り前に撮ったもの。

やがて迎える夏をイメージしてトランクに使った布は、5月に載せたTHEVENON社製のToile de Jouy(トワル・ド・ジュイ)、”Histoire d’eau”。 海辺の楽しさが感じられる絵柄を使って、子どもサイズで作りました。

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布に描かれている”水辺のストーリー”。どのシーンも魅力的で、ついじっくり眺めてしまいますが、子どもたちの洋服の可愛らしさに惹きつけられる人も多いのではないでしょうか。

トランク正面に使っている場面には男の子が4人描かれていますが、その中の2人はセーラーカラーの洋服を着ています。

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水兵服として知られるセーラー服の歴史は、19世紀半ばにイギリス海軍が制服として採用したのが始まりで、その後、アメリカ、フランスなど世界各国の海軍に広がり、20世紀以降の学校の制服につながったとか。

子供服としての流行のもととなったのは英国王室で、1846年、ヴィクトリア女王の長男、エドワード皇太子(エドワード7世)が4歳の時、王室のクルージングの為にあつらえた新品のセーラー服(ロイヤルヨットの船員とお揃いのデザイン)を着たことで人気となり、流行が世界に広がっていったそうです。

※セーラー服を着た可愛らしい皇太子の肖像は、19世紀の宮廷画家として有名なWinterhalter(ヴィンタ-ハルター)の作品として残っており、セーラー服も美術館に保存されています。

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トランク外側はストライプを使ってマリンのイメージにしましたが、内部に使ったのは大小のチェック柄。小さめの作品ですが、内部は可愛い感じにしたくて、4種類の布を使いました。

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時代は変わっても王室のベビー誕生は注目の的。英国王室からまた新しい流行が生まれるかもしれません。

星の形の小さなお針箱 -七夕によせて

さらさらと風にそよぐ短冊や、涼しげな紙の飾りに彩られた七夕の笹飾り。子どもたちの作ったものはとりわけ微笑ましく、幼い頃に折り紙で七夕飾りを作った時の楽しさを思い出させてくれます。

子どもの頃にお気に入りだったのは「天の川」を模した「網飾り」。紙を折って切り込みを入れるだけでビューンと伸びる不思議さに惹きつけられたものでした。

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中国の乞巧奠(きっこうてん)という星祭りに由来するという七夕のお祭り。

乞巧奠(きっこうてん)とは、奈良時代から平安時代に催された宮中行事の1つで、もとは旧暦の7月7日の初秋に行われたものだったとか。そこに牽牛(けんぎゅう)と織姫の伝説や日本古来の神事(お祭り)が絡みあって、七夕(たなばた)の節句となったそうです。

今おなじみの”七夕の笹飾り”は江戸時代から始まった風習で、歌川広重や歌川国芳の作品をはじめ、浮世絵の中にもたびたび登場しています。下の画像は広重の「市中繁栄七夕祭」。絵の中で西瓜や鯛、ひょうたんや大福帳などが笹と一緒に風になびいている風景を見ると、なんとも平和そうで、江戸時代の夏にタイムスリップしてみたくなってしまいます。

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日本人にとってなじみ深い、織姫(おりひめ)、彦星(ひこぼし)、天の川の物語。

天の川は、英語ではMilky Way(ミルキーウェイ)またはMilky Way Galaxyと 呼ばれる銀河系(天の川銀河)のこと。夜空に浮かぶ光の帯は古来から神秘的なものとしてとらえられ、世界各地にさまざまな神話や伝説が残っており、1610年にガリレオが自作の望遠鏡で天の川が星の集まりであることを確認するまでは、様々な論争を呼んだそうです。

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さて、前置きが長くなってしまいましたが、作品の紹介に移りましょう。上の画像は七夕にちなんだカルトナージュの作品2種、「星の形の糸巻きと小箱」。先に紹介した七夕の由来である乞巧奠(きっこうてん)という宮廷行事からヒントを得て、遊び心で作ったものです。

手芸や裁縫が重要な技術であったその昔、乞巧奠の行事では、織姫(おりひめ)星=織女(しょくじょ)星に、針仕事の上達を願って、五色の糸(青、赤、黄、白、黒:現代では紫)や針を供えるなどの雅なしつらえが行われたとか・・・。

そこで、カルトナージュの星の形の箱は、「小さなお針箱」にしてみました。材料には、”五色の糸”の代わりに、糸が交差したように見えるチェック柄を使い、色は青、赤、黄、白、紫の淡いトーンで涼しげに。針刺し(ピンクッション)や小物入れは内部にぴったり入るような形にしています。

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「星の形の糸巻き」は布のハギレで作れる簡単な小物。中途半端に余ったブレードやリボンなどを巻きつけて保管するのに便利です。(星の形でなくてもいいのですが、七夕ということで・・・)

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「五節句」の1つである7月7日。節句にはそれぞれに関わりが深い植物があって、「竹の節句」と呼ばれることもあるようです。※3月3日は「桃の節句」

”竹は節があるからこそ強く美しい”とよく言われますが、季節ごとの伝統行事も大切な節目。1年をめりはりのある豊かで楽しいものにしてくれます。